再会はもずくの味


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「あ〜、レミィ・クリストファー・ヘレン・宮内さん?」
「ナニ?」
そう言って振り返ったパツキンはもずくを口一杯にほうばっていました。
………神様、私なにか悪いことをしましたでしょうか?
何故ボクがこのような僻地でヤンキーともずくを喰らわなければならないのでしょうか?
大体アメリカっ娘。と言えばナイスバディで聡明で少し影のある雰囲気のある女の子と
相場は決まっているのではないでしょうか?
しかし、目の前に居るこの娘さんはナイスバディ以外どこも当てはまらないではありませんか!
神様そりゃあんまりというものです!
しかもこの殺人鬼がうようよしている島で僕たちが持っている物と言えば
大量の一パック58円のもずくと水鉄砲………
神様、やっぱり僕に死ねと言ってるんですね!
ヒドイ!まだ女の子とキスもしたことがないのに!
「ジュン!」
「うわっ!」
突然ヤンキー娘のドアップが目の前に会ったのですからびっくりもしますよ、それは。
「さっきから呼んでるのに無視するなんてヒドイデス!」
「あ、ああ。悪い。ちと考え事をしていてな」
「考え事?ナニ考えてたんですカ?」
「うむ、世界情勢のことを少々な」
「そうデスカ。それよりジュンももずく食べないデスカ?」
「い、いや。俺はいいよ。もう腹一杯だし」
「そうデスカ?ジュン以外に小食ネ」
あんな食いっぷりみせられたら逆に食べられなくなるっちゅーの!
「そろそろ。出発しませんか?レミィ・クリストファー・ヘレン・宮内さん」
「ウン!いいヨ!あ、デモ………」
「ん?何か問題でも?」
「さっきからジュンワタシのことフルネームで呼んでるネ。レミィでいいヨ」
「あ、ああ。分かった。それじゃあ行きますか、レミィ殿」
「ウン。それでこれからどうするネ?」
「そうだな、まず俺の知り合いに住井護っていうやつがいるからまずそいつを捜そう。色々と頼りになるやつだからな」
「ワカッタ!それじゃLet’s goネ!」
と言うわけで俺はヤンキーを引き連れて護を探す旅に出発することになった。

歩き始めること数時間。武器の無い俺達は辺りを十分に警戒しながら歩いていた。
ガサ!
「ジュン?」
「シッ!」
俺とレミィは素早く草陰に隠れた。
ガサガサ
草を掻き分ける音が段々近くなってくる。
俺とレミィは息を殺してじっとしていた。
草むらから一組の男女が出てきた。
「護?!」
「その声、潤か?!」
俺の捜索人は案外あっさり見つかった。こういうのをご都合主義と言うのかもしれないな。
「ジュン、その人が捜してた人?」
「ああ」
「潤、この美しい女性はどなただ?」
「ああ、彼女の名はガルベス宮内。まぁレミィと呼んでやってくれ」
「なんかイイカゲンな紹介ネ」
「あ、あの住井君………」
「ああ、美咲さん。ゴメンゴメン。紹介するよ。こいつが話してた北川潤だ」
「北川潤です。よろしく〜」
「あ、澤倉美咲です。よろしくね」
(おい、護!)
俺は小声で護に話しかけた。
(何だよ、潤)
(お前どこであんな可愛い人見つけたんだよ!)
(何言ってやがる!お前だって素晴らしいパツキン娘を引き連れてるじゃないか!)
(バカ!お前はレミィの事を何も知らないからそんなことが言えるんだ!)
「住井君?どうしたの?」
「ジュン?どうしたネ?」
「い、いやいや。ちょっと護と消費税の値上げの是非について話してたんだよ」
「そうそう、なはははは」
その場を何とかごまかした俺達は今後の事を話し合うことにした。
「何だよ、潤。お前らの持ち物は」
「俺に言うなよ。俺だって悲しいんだ」
「Oh!もずくオイシイヨ!栄養満点ネ!」
「まぁ武器は俺達のマシンガンで何とかするしかないか、それより潤」
「何だ?って聞くまでもないか。パソコンのことだろ」
「ああ、俺の携帯と一緒に使えば何か出来るだろう?」
「う〜ん、パソコンのことに関してはお前の方が詳しいだろ、護」
「まぁ、そうだけどさ。お前の知恵も借りたいからな」
「よし!早速そのパソコンを調べてみるか!」

「どうしましタ?ボーッとシテ?」
「あ、うん。男の子って凄いなぁって思って」
「ソウネ。何だかんだいってもやっぱり頼りになるネ」
「うん、そうだね」
二人の女の子にそんなことを言われているとも知らず俺と護はパソコンの前で悪戦苦闘していた。


【北川潤 宮内レミィ 住井護 澤倉美咲 合流】
【持ち物 パソコン 違法携帯 マシンガン もずく 水鉄砲】

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