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惑い。(直死の魔眼)


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浩平が水を汲みに行っている間、二人は微妙に気まずい間を過ごす事になる。
いや、気まずいのは自分だけなのよ、ほら、さっきああいうの見ちゃったわけやし?
「七瀬さん、あのさ」
「な、な、な、なに瑞佳っ?」
――あまりにしどろもどろ過ぎます。そう思いながらも、七瀬はなんとか返事をした。
「……わたしたち、生き残れるのかな」
と、瑞佳は不安そうな顔でそんな事を云った。
「……わかんないな。このゲームが何処かでおじゃんになれば、あたし達は生き残れるかも知れない、けど」
「――きっと、終わらない気がするんだ。何かの力が働いているような、そんな気がするから」
七瀬も、そんな気はしていた。あの鹿沼葉子という女性が、高槻を殺したとしても。
きっと、終わらない。
「指切り、しておきたいんだよ、七瀬さんと」
「……何、かな」
真剣な顔をして、瑞佳は自分の顔を見た。
「――もし、ゲームが終わらなくて、最後まで、わたし達が生き残って」
――二人きりになったら。
「わたしを、殺していいから」
わたしも、七瀬さんを、殺すから。
「――うん。あたしも殺して良いわよ。まあ、勿論最後まで生き残ってからの話よ」
それまでに、ゲームはきっと終わるわよ。七瀬は笑って云った。

「そう云えば、瑞佳の支給品って何なの?」
話題を変えてみた。
「あ……まだ見てなかったよ」
瑞佳は苦笑いをしながら、鞄の中に手を突っ込んだ。
「……眼鏡? 眼鏡と、古い、ナイフかな」
七瀬は、瑞佳の手に握られていたその不思議な組み合わせを見て、不思議そうな声を出した。
「この眼鏡、何かしらね」
七瀬は瑞佳から眼鏡を受け取ると、かちゃりとそれを掛けてみた。
そこから見えるのは、見える世界全部に線の走った、不思議な風景。
「……割れてるのかしら、この眼鏡」
だが、割れている様子はない。もう一度眼鏡を掛ける。度は入っていない。
ふと瑞佳を見ると、瑞佳の身体にも線が走っている。
「気持ち悪いわ……」
七瀬は顔をしかめて、それを瑞佳に返した。
瑞佳も眼鏡を掛けて、気持ち悪そうな顔をした。
「地面にも走ってるね……地割れみたいだよ」
そして、眼鏡を外して瑞佳はそれを制服のポケットに仕舞った。
「何かの役に立つかも知れないし、一応持っておくよ」
ナイフは護身用にもなるしね、と瑞佳は笑った。

それが直死の魔眼を作り出す眼鏡だと云う事に、二人はまるで気付かなかった。

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