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新たなる戦い


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ドアの向こうに見えていたレミィの顔が消えたかと思うと、
「Freeze!」
レミィの声だ。
その声で、レミィに会えた嬉しさなど一瞬で吹き飛ばされた。
(まずい!)
北川潤は、腕の痛みなど忘れてドアの向こうへ駆けだした。

そして北川が目にしたのは、釘打ち機を構えたレミィと、地面に倒れていた結花。
結花の顔の脇わずか数センチには、先程発射されたと思しき釘が突き刺さっていた。
両方ともピクリとも動かず対峙している。

「ストーップ!」
北川は声を張り上げ叫ぶ。
「ジュン! 私の事はいいから逃げて!」
レミィは姿勢を変えないままだ。
「それよりも、これはどういう事だ?」
「だって、コイツが銃を拾おうとするから…」
なるほど、結花の手の先には銃が落ちている。
「そうか…」
北川はゆっくりと結花のそばまで歩み寄ると、件の銃を拾い上げる。
「これならどうだ? レミィ」
「Oh! サンキュー、ジュン」
レミィはちょっと安心したようだが、まだ釘打ち機の先を結花からそらさない。
「…一体、どうなってるのよ?」
結花が小声でつぶやく。
「おっと、これは失礼。この人がさっき言ったレミィ・クリストファー・ヘレン・ミヤウチだ」
「……」
「今の一撃でわかったとは思うけど、レミィは狩りの名手でね。母国アメリカでは100メートル先の鷹を撃ち落とした程の腕前なんだ。結花お姉さま」
北川は不意に語り始める。
「今はたまたま外したみたいだが、次に一発放った時にはどうなることやら…」
「わ、わかったわよ。変な気を起こさなきゃいいんでしょ?」
結花が両手を上げながら立ち上がる。
「それはさておき、レミィにぜひ会わせたい奴がいるんだ」
「Who?」
「ま、中に入ってくれ」

「ふぅ〜」
久々に拘束を解かれて、祐一はまず大きく深呼吸をした。
「まったくレミィ様々だよ。レミィが助けに来てくれなきゃ、今頃あのガサツ女に何されてた事やら」
そのガサツ女―結花だが、小屋の片隅に座らせている。
北川は「とりあえず銃も手放してるからそのままでいいんじゃない?」とは言ってみたものの、流石にああいう事件が
起こったばかりなので、先程まで祐一を縛っていた縄で後ろ手に結わえた上で、レミィに見張りをさせている。
レミィはレミィで、祐一が縛られていたのを不思議がっていたが、
「銃をもったままでぶっ倒れていたもんだから、怖くなって縛ったらしいぞ」と、北川のとっさの出任せであっさり納得した。
「ジュンもアイザワも、ブジでよかったヨ」
レミィの表情にも笑みが戻ってきた。

「縛られたご気分はいかが? 結花お姉さま」
「もう、その"お姉さま"ってのはやめて」
結花はさっきからぶんむくれたままだ。
「ねぇ、ジュン。さっきからお姉さまお姉さまって、この人ジュンのシスターなの?」
「いやぁ、そういう訳ではないんだが」

北川は左手一本で自分の荷物と祐一の銃を取ってきた。
「さて相沢、レミィも来てくれたことだし、俺達もそろそろ脱出するか?」
「あのガサツ女はどうする?」
「あ〜、このまま放っておけばいいだろう」

そう話をしていた時、
「結花ぁ〜!」
大声と共に、ドアが開け放たれた。

ほどなくして、新たなる戦いの幕が開いた。

「痛てぇ〜〜〜〜!」
「ジュン、Fightヨ!」
「お、おう」
「北川、やっぱり大丈夫じゃなかったじゃないか!」
「い、いや、体中を蜂の巣にされるよりかは、まだマシだ、っつ!」

北川…すまない。お前だけにこんな痛い思いをさせてしまって。
俺だって、こんな展開になるとは思ってなかったんだ。

「い、痛てぇ! 腕が、腕が…」
「もう少しの辛抱だっ!」
「ジュン、じっとするネ!」
「うわ、レミィまでっ!」
「……」

正直、今の北川を見ているのはつらい。
でもこれがお前のためなんだ。もうちょっと辛抱してくれ。

「しっ、しみる〜!」
「もうちょっとヨ!」
「……」

「まったく大袈裟だよね。傷口を消毒するだけで大騒ぎして」
後ろで見ていたスフィーとガサツ女はあきれていたけど。

北川の説得で、外から戻ってきたスフィーと芹香との戦闘はあやうく回避された。
そして今は芹香が持ってきた消毒液で北川の腕の傷を消毒中、ってわけだ。
スフィーの方は、レミィの代わりに結花の見張り中。

消毒が終わると、芹香が包帯を取り出して北川の右腕に巻き付けていく。
これでようやく手当てが終わった。

「ふぅ〜、この島に来て一番しんどい戦いだった」
「痛ミニ耐エテヨクガンバッタ。感動シタ!オメデトウ!」
「…全然めでたくないんだが。って、よくそんな言葉覚えてるなレミィ」

「それにしても、ここでセリカに会えるとは思ってなかったヨ」
「……」
「ん、レミィ。その魔法使いとは知り合いなのか?」
「魔法使いじゃないヨ! 同じ学校のセンパイなの」
「そりゃよかった。レミィ、この3人は俺達のことを信用できないと言ってるんだ。俺に代わって、
どれだけ俺達がジェントルでフレンドリーか説明してやってくれ」
「OK!」

レミィが俺達のことについて説明してくれている。
とりあえず、あいつが言ってた"最悪の事態"は免れたな。
あとはここから出るだけか… 最後まで何事もなければいいんだが。



【北川:腕の傷を手当、包帯を巻いてもらう】
【結花:後ろ手に縛られている】
【祐一、北川の荷物類は全て北川が持っている】
【結花が持っていた銃(種類不明)は北川が持っている】

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