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捕える者、阻む者(アナザー)


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衝撃が北川の背中から全身へと伝わった。息が詰まる。
飛びそうになる意識をふんづかまえながら叫ぶ。
「神尾さん……逃げ………逃げろぉ!」
根性でこじあけている瞼。その内の瞳には、無様に転ぶ観鈴の姿。
「知らなかったのか?神奈備命からは逃げられない」
言いながら、光は観鈴との距離を詰めていく。
(クソ……あの妙な転び方も、てめーの仕業かよ……)
俺の右手の銃には玉が何発残っている?いや、そもそも右手は動かせるのか?
ぐっ、と腕に力をこめる。節々に走る激痛。気まで遠くなりやがる。
動くさ。動け。動かせ、俺!



神奈備命からの強烈なプレッシャーに、観鈴は逃げるどころか、足がすくんで動かせなくなっている、と言うのが実情だった。
神奈備命から手が伸びる……のが、観鈴には見えた気がした。
その手は、ココロの芯を捕らえるように胸元に伸び……
音も無く、観鈴の「内側」に入っていった。



(わたし……わたしは……)
観鈴のココロに伸びた手は、それを包み込むように、ゆっくりと。
(寒いよ……冷たいよぉ……)
そして、それをしっかりと制圧できるように、厚く。
(が……がぉ………)
その、冷たい、手は。
(いやだよ……こわいよ……)
観鈴の、ココロを、握り、潰……




銃声が響いた。
ステアーTMPの銃弾は、観鈴に伸びた神奈備命のその腕を、空を切り貫いていた。
「うぬうッ!!」
苦悶、と言うわけでもなかったが、神奈備命は確かにその表情をゆがめ、観鈴の中の手をひいた。
「今だ神尾さんッ!逃げろ!!」
ぶるぶると震える手で、それでもその手の銃口は神奈備命を捕らえたまま、北川は無心で叫ぶ。
「……うう」
観鈴はその場にうずくまり、凍えるようにして体を震わせていた。
(・・・・・・?)
突然の事に北川の思考が一瞬とまる。しかし北川の頭脳はまたすぐに、いささか偏った回転をはじめる。
(さっきの接触の所為か?)
北川は一瞬で原因を推察する。と同時に、事態が全く好転しなかった事も察知する。
むしろ美鈴が動けなくなった分、事態は悪化したとも言える事まで理解する。
「おのれ……誰も彼も、余の行動を妨げる……」
嫌悪感か、殺気か。とにかくそれは、北川に向けて発せられていた。
「く、くそっ!」
立てつづけに2発。その銃弾は神奈備命の体を貫き……否、神奈備命の体をすり抜け……
奥の壁に穴を開けるに至った。
「先程の念はなんだったのだ……先程の念をもってすれば、余を消滅せしめることも可能であったろうに……」
失望した、と言わんばかりの表情と口調でそう言い捨てると、神奈備命は観鈴に向き直る。
また、あの手が伸びていく……

メインモニターから発せられたその音は、北川、神奈備命、観鈴、あるいは今はこの部屋にいない者の耳にも届いたであろう。
神奈備命は、思わずそちらを振り返る。
北川は、CD解析のゲージの表示が、99%から100%になり、バーがすべて埋まるのを、確かにみた。



【観鈴、神奈備命の干渉を受け精神的ダメージ。】
【北川、致命傷でこそないがダメージ甚大。】
【神奈備命、注意がメインモニターへ。】
【解析完了アラーム、鳴り響く。】

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