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無題


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「アンタほんとにへちょいわね! そんなんで乙女もクソもないってーのよ!!」
「何よ! 怪我人は大人しくしてなさいよ!!」
施設内には、外の騒ぎの二倍はかしましい医務室があった。
だがさすがの彼女たちも、あれだけの衝撃音は打ち消せない。

「七瀬?……今の…銃声、よね?」
「うん-----」
七瀬は素早く自分の鞄を抱えこむと、立ち上がった。
続いて思い直したように座り込むが、再び立ち上がる。
晴香は不審げな顔を隠さず尋ねた。
「七瀬…なにやってんのよ?」
「怪我人を、一人でほっとけないわ」
「……スクワット?」
「するかってーの!
 あんたが心配だからほっとけないって言ってんのよ!!」
叫びながら、どしんと乱暴に座り込む七瀬。
更にはぎりりと歯噛みをして睨みあう。


ややあって、晴香がふいと視線を逸らした。
「…アタシのために、誰かを見殺しにしたら…後悔するわよ」
「……そんなんじゃ、ないよ」
答える七瀬に、いつものキレはない。一方の晴香は、いつものように畳み掛ける。
「だったら、行きなさいよ。
 そんな辛気臭い顔で座り込まれても、迷惑なだけよ?」
ばしーん、と景気の良い音をたてて七瀬の背中を叩く。
しばらく不満げな顔で晴香を睨みつけていたが、七瀬は再び立ち上がった。
「……行ってくる」
「うん。さっさと戻ってきて、アタシの看病しなさいよ」
晴香はひらひらと手を振って、陽気に七瀬を送り出した。

七瀬が去った医務室にて。
ベッドの中で耳を澄まし、彼女の足音が消えるのを待っている人物が居た。
「……行った、わね…」
ベッドから這い出して、鞄を拾う。
「痛たたたた…」
晴香はやっぱり、大人しく寝てなんかいなかった。
「…自分の身体が心配で、他人を見捨てたら…後悔するっての」

無理矢理伸ばした背筋を保持して、晴香は部屋を出る。
そして、右へ曲がる。

 「……コホン」
 背後から咳払い。

「-----な!?」
「…そんなことだろうと、思ったわよ」
「なななななな」
「バカは死ななきゃ治らないのね」
「なななななせ?」
「ななせ、よ!」

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