ゲームスタート


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 絶海の孤島に建てられた巨大なホール。
 ここから、史上最悪のサバイバル・ゲームの幕が今、開かれようとしていた。

「えぇ、これからお前達には、殺し合いをしてもらう」
 マシンガンを持った男二人を横に連れ、ゲームの管理人、高槻は言った。
 突然発せられたその言葉を殆どの人間が理解できなかった。
 ただ一人だけ、瞬時に理解し、叫んだ者がいた。
 084番、御影すばる。
「ちょっと、どういうこと!? ころし……」
 パンッ!
 軽い音が響く。
 言葉を続けることなく、すばるはその場に崩れ落ちた。
 誰よりも理解が早かった結果、誰よりも早くゲームから脱落した。

「どういうことって、こういうことだよ! わかったかい?」

 ホール内を緊張が走り抜けた。

「ルールは簡単。ただこの孤島の中で殺し合いをするだけだ。
 最後に残った人間だけが、唯一助かることができる。
 脱出しようなんて考えないほうがいいぞ?
 船は用意されてないから無駄だ。
 これから読み上げた順に、鞄を持ってホールを出てもらう。
 鞄の中には食料、水、島の地図、それに武器が入ってる。
 武器には当たり外れがあるから、使えないのに当たったら運の悪さを恨むんだな。
 我々に刃向かったら即刻殺すので、そのつもりで。
 戦闘のプロばかりだから、勝とうなんて思わない方がいいぞ。
 何か質問は?」
 静かに手を上げる者がいた。
 090番、水瀬秋子である。
「よろしいですか?」
「なんだい、かわいらしいお嬢さん。いや、奥さんだたか……クックッ……」
「お母さん!」
 091番、水瀬名雪が隣で声を上げる。
 秋子は「大丈夫」と目で言い、高槻に訊ねた。
「何の為にこんなことをするんでしょう? どうして私達が選ばれたのでしょうか?」
「何の為? 金持ちの道楽さ。深い意味はない。選ばれたのも、コンピューターが勝手にはじき出しただけだ」
「そうですか、ありがとうございます」
 まだ緊張した面持ちで、席に座る。
「それじゃあ、ゲームスタートだ。せいぜい楽しませてくれよ!」

084番 御影すばる 死亡
【残り99人】

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