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約束


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スタート地点からどれだけ歩いたのだろうか。およそ5、6時間は経っているはずだ。
海が近いのだろう。潮風が吹きぬける廃工場――というにはあまりにも寂れた――へとたどり着く。
「ここで休憩しよっか。
でも…困ったものねぇ、…ねぇ、これからどうする?」
不安げに芳賀玲子(070)が柏木楓(018)を見やる。

特に面識があったわけでもない。ただスタート直後からなんとなく…一緒に行動していた。
見も知らぬ他人だけど、一人でいるよりはずっとマシに思える。

先の放送…死亡者の名前に知り合いの名前があった。
動揺、混乱……だが、それ以上に非現実的な今の状況をリアルと感じられない。

「これから…ですか。…生き残ります。」
淡々と楓が呟く。
「うーん、それはそうなんだけどね。」
玲子は支給された武器…釘バット(特注)で地面をこする。
確かに見てくれはよくないが、結構殺傷力がありそうだ。
木製なんだろうが、見た目よりずっと軽い。
銃には劣る…かもしれないが、自分に銃が操れるとは思えないし、
自分の身を護るのには割と…いや、かなり適していた。

「一つ聞いていいですか?」
「…うん?」
「玲子さんは、私が恐くないんですか?」
「へっ?」
「なんでもありません…。」
「……」
「……」
「ねぇ、私達、もう友達だよね?」
「え、は、はい。」
「だったら、一緒にココを出ようね。約束だよ☆」
「…は、はい。」
玲子さんは、ずっと、強い人だ。
私の不安や疑念をすっと消してくれる。
(この人でよかった。)
本当にそう思う。

「でも、足手まといじゃないですか?私、コレだから。」
楓は、自らのウエポンである一冊の本を差し出す。それは広辞苑やコミケカタログのように厚い。
『民明書房』(角が結構イタイ)
「なんかその釘バットより重いんですけど。」
「んー…あっ、それがあればいい解説者にはなれそうかもっ…!」
「額に大往生なんて嫌です。」

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