活動再開
「だから甘いんだよ」
マナがその場を去った直後、浩之は目を開きそうつぶやいた。
聖のメスに塗られていた薬は即効性ではあったが絶対量の少なさから浩之を
長時間にわたって眠らせるには至らなかった。
後ろ手に縛られたロープを木の幹にこすりつけて切断し足のロープをほどく。
「武器はあのマナとか言うやつがもっていきやがったのか」
――どこからか調達するしかねえな――そこまで考えたとき足音が聞こえてきた。
仕方なく浩之は近くの茂みに身を隠した。
数分後、そこに現れたのは新城沙織(049番)だった。
日本刀を抱え苦しそうに息をしている。 体のあちこちが血にぬれているのは出血
のせいだろうか?
――あいつをやろう――そう思った浩之は石ころを拳に握り込むと沙織の背後に
そっと回り込んだ。
「ああこれでこれでたすかるんだかるんだるりこちゃんにこのかたなわたせば
しななくてすむんだだだ」
既に出血と全身にまわった毒の影響で沙織の精神は崩壊の一歩手前であった。
にもかかわらず彼女が死にいたってないのはその出血により体内の毒が
流れ出していたためであった。
川島はるかとの乱闘で負った傷が沙織を生きながらえさせる結果となったのは
皮肉な結果であった。
浩之はそんな彼女の後頭部を石を握り込んだ拳で思い切り殴りつけた。
いたいだれかがなぐっただだれだれれてるるりこちゃんなぐったの
るりこるりこるりこあまたなぐったなぐたまたまたまたたなぐたいたい
いたいいたいやだいやだしぬのいやいたいやいたい・・・・・・・・・
「なに言ってたんだこいつ」
そう言って浩之は日本刀を腰のベルトにさすと毒の塗られた鋏を拾い上げた。
「次は銃だな」
浩之は数分前まで沙織であった肉塊には目もくれずその場を後にした。
【刀 毒塗り鋏藤田浩之の手により回収】
【049 新城沙織死亡】
【残り 75人】