学校で〜後悔〜


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暗くて心細かったが、電気をつけるわけにはいかない。

だからほっとする。窓から、太陽の光が差し込んでくることに。
「ごめんな、あゆ、こんなところでずっといることになって」
「ぜ、全然大丈夫だよ」
あゆがかぶりをふった。
「千鶴姉、早く戻ってこないかな……」
そろそろ、1時間は経つはずだ。
もう、戻ってきてもおかしくない。
「たぶん、一緒に来るんだよ♪怪我してたからゆっくりとこっちに向かってるんだよ」
「ああ、そうだな」
あゆなりの慰めなのだろう、梓は少し、苦笑した。

梓の顔は、あまり晴れなかった。
千鶴のこともある。耕一や初音のこともある。もちろん、楓の死のことも。

「佳乃……」
梓が呟いた言葉。

――よし、君はボディーガードメイド1号さんだよぉ

頭の猫耳を、そっと撫でる。
(信じてあげれば…良かったかな…)
少しだけ、悲しみに沈んだ。

「梓さん、どうしたの?」
「いや、なんでもないよ……」
あゆの頭を撫でる。
「まさか、学校に二回も来ることになるなんて思わなかったな」
「……」
「仏さん、ちゃんと天国にいけるといいな」
あゆを覗き込む。
「……どうした、あゆ?」
あまり、顔色がすぐれない。
「ごめん、余計な事、思い出させちゃったよな」
「うぐぅ、違うよ…」
弱々しく首を振った。
「ボクは、学校に来るのは三度目だから」
「三度目…?なんで?前に来たのか?」
「ううん、なんでもないんだよ♪」
その笑いに、あまり力はなかった。

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