学校で〜待ちぼうけ〜


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「どうしたんだよ、あゆ…?学校三回目とかなんとか…どうしたんだ?さっきから暗いぞ」
「ううん、なんでもないよ♪」
あゆの思考が現実にかえる。笑いながら頭を振った。
「あのね…ほんとになんでもないんだよ」
「分かった…あの日…だろ?待ってな、お姉さんが今…」
ポケットをガサゴソと漁り出す。
「うぐぅ、違うよっ!!」
「そうなのか?まあ、いいか…笑顔も戻ったことだし」
梓が、あゆの頭を撫でた。
「うぐぅ……うんっ!」
満面の笑みを浮かべた。

「あのね、梓さん……」
「なんだ?あゆ、そんなにかしこまって」
「ボクを守ってくれて、ありがとね」
少しだけ恥ずかしそうにしながら。
「最後まで守ってくれるかな…」
「あたりまえだろ?私はもう…」
あんな悲しい思いはしたくはないから。
「絶対に最後まで守ってやる。あゆとあたしの、約束だ」
強引に、あゆの小指に自分の指を絡めた。
「あはは…はあ、千鶴姉、遅いな…」
「そう…だね、どうしたんだろう」

最後まで守る。その最後が今生きているみんなで脱出するってことになれば言うこと無いな…
と梓は思いながら、窓の外を眺めた。


【柏木梓 月宮あゆ 学校待機残り一時間】

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