恋愛のススメ


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『ふぅ、取りあえずこれで一安心だな』
『あぁ、そうだな』
俺はポテトとこの建物の中であった死闘を振り返っていた。
『それにしても、やはり我々が来て正解だったようですね』
そらが羽を羽ばたかせながらそう言う。
『あぁ、俺達が来なきゃあの人間どもは全滅してただろうな』
『でも、あの凶悪面の人間は死んじまったみたいだな………』
俺はそう呟いた。
『まぁな………、だがあの人間はあの死に様に満足してたみたいだぜ』
『………そうなのか?』
『あぁ、俺は今までに色々なヤツの死に様を見てきた。あいつは満足して死ねただろうな、それは間違いない』
『そうか………』
『だから、俺達があの人間の意志を継いで残りの奴らを守ってやらないとな!何しろ残ってるヤツは頼りない奴らばっかりだからな』
『………そうだな。あの人間が守ろうとしていた人間どもはこの俺様が守ってやるぜ!』
それが、あの人間の、少しの間とはいえ一緒に行動したあいつへの弔いになるだろうからな。
『ヘッ、お前は引っ込んでな!』
『何だと!』
『ケッ、いつまでもこの俺様にかなわないお前がそんな大それた事が出来るわけがねぇだろうが。大人しく引っ込んでな』
『ポテト!テメェ!ここで決着をつけてやるぜ!』
『面白い………、受けて立ってやるぜ』
俺とポテトの間に緊張が走る。
『まぁまぁ、落ち着いて。今はそんなことしてる場合じゃないでしょう』
『そうだな。命拾いしたな、ぴろ』
『その台詞そっくりそのまま返すぜ!』
俺とポテトを引き離したそらがふと呟いた。
『そう言えば、あの新入り君はどうしてるんでしょうかね?』
『そんなの知るか!あんな恩知らずな野郎はどこへでもいっちまえってんだ!なぁ、ポテト』
『そ、そうだな』
『ん?どうした?ポテト。何か様子がおかしいぞ』
『い、いや。何でもねぇよ』
………おかしい。
こんなポテトは今までに見たことが無い。
いや、この反応は昔に見たことがあったな。
ということは………
『ポテト………、おめぇ、あの野郎に惚れちまったか』
『な、何言ってやがる?!』
ビンゴか。
『やっぱりそうか、昔からお前あんな感じのやつに弱かったもんな』
『ほう、そうなのですか?』
『あぁ、こいつ昔から影のある女に弱いんだよ。それにしても………まさか他種族の女に惚れちまうとはなぁ』
『うるさい!勝手に決めつけるな!だ、第一俺はあんな女に惚れてない!』
『あー、分かった分かった。俺に任せておけ。俺がバッチリ仲を取り持ってやるからよ』
『ふむ、私も協力しましょうか』
『お!お前も協力してくれるか!』
『ええ、なにやら面白そうですしね』
『お前ら!勝手に話を進めるな!』
ポテトの言葉を無視しながら俺とそらはポテトとあの新入りを結びつける【ポテトラブラブ作戦】のことを
話し合っていた。

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