冷たい雨の少女(2)
殺した。
可愛い後輩を、いともあっさりと。
不思議と罪悪感は感じなかった。
私は、絶対に帰らないといけないから。
あの空き地で、彼をずっと待ち続けなければいけないから。
私がいなかったら、彼は帰って来ることができなくなるだろうから。
「私も、奪う側に回ってもいいですよね?」
そう呟く。
澪の背負っていた、今や血にまみれている鞄に手をのばした。
武器を探す。だが見つかったのは、多少太い木の棒だけだった。
(外れ……)
はぁ、と溜息をつき木の棒を投げ捨てる。
そして、次の獲物を探しに、走り出した。
自分はこんなに早く走れただろうか。
こんなに体力があるのだろうか。
人間、極限状態まで陥れば、普段は眠っているような力が発揮できるとか。
そんなことはどうでもいい、絶対に、私は生き残る。
澪も殺した、もう迷わない。
ただ……
「私は……詩子まで殺せるの?」
その問いに答える者は、誰もいなかった。
【残り98人】