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「きゃ〜〜〜!? わわわ! 助けて〜!」
「おとなしくしなさい、このアリ女!」
 広瀬真希(075)が、倒れた雛山理緒(073)の上にのしかかる。
「私が死んだら良太が〜! ひよこが〜! お母さんが〜!
 お願い、見逃して〜!」
「あきらめなさい。どうせあんたみたいなのじゃ、最後まで生き残れないわ」
 真希が、逆手に構えたスタンガンを首筋に当てる。
「やだ〜! えいえい、このっ!」
「ちょ、このっ、暴れないでっ! きゃっ!」
 真希が大きくバランスを崩し、横に倒れる。
 その隙に理緒が転がり、不器用に立ち上がる。支給品である大口径のマグナムを取り出し、
 片手で顔をかばう真希に向ける。
「こ、来ないで! 来なければ殺したりしないから! 来ないで!」
 がくがくと膝が震え、腰は完全に引けている。
 真希は鋭い目つきで理緒を睨み据え、威圧するように一歩踏み出した。
「撃ってみなさいよ。バッカみたい。あんたみたいのが撃てるわけないじゃん」
「お、お願いだから……!」
 理緒が、左手で銃の腰を押さえる。
「いいわよ。こんなとこで死ぬようじゃ、アタシも最後まで生き残れない。
 ホラ、撃ちなさいよッ!」
「わ、私、やだっ! イヤだ!」
 理緒の目に、涙が浮かんだ。腰が完全に引けきって、逆に姿勢が安定されている。
 真希が、さらに一歩踏み出した。スタンガンをこれみよがしに見せつけ、バシッと火花を散らす。
「じゃあくたばるしかないわ。そうやって泣いてなさい」
 一歩。
「な、何で……」
 一歩。
「こんな事になっちゃったの……」
 一歩。
「何で! 何で! 何でぇぇぇ!!」
 轟音が、深い大空に鳴り響いた。

 後に残ったのは、くずおれて号泣する理緒と、原型を留めないほど顔を吹き飛ばされた真希だった。

 075 広瀬真希 死亡
【残り096人】

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