「またね、お嬢ちゃんたち」
言い終わるなりちっ、と舌打ちをして、石原麗子は逃げ行く少女たちを見送った。
わざわざ追うことはしない。まだまだ先は長いのだ。体力は温存しなければ。
それにどうも―――力が巧く発現してくれない。
「粋な真似してくれるじゃない」
ひとりごちて、由宇の銃弾が掠めた腕の血をペロリと舐め取る。
おそらく、島全体になんらかの呪術結界式が敷かれている。
そうでなければあの二人とも、あっという間に殺せていたはずだ。
コツをつかめば多少の力の行使は出来るだろうが……直接死に至らしめるのは無理だろう。
勿論それは、自分以外の人間にも適用されるのだが。
ならば、まずするべきことは。
……答えは、あっさりと見つかった。
少女たちの強運を嘲笑って、麗子は詠美たちとは反対方向へと歩き出した。