ザクッ
背中に何かが刺さった。
足音は聞こえなかった、が、誰かいたのか?
健太郎は考えるより早く振り向き、ガバメントを撃つ。
パンパンパンパンッ!
気持ちいい。痛みが和らいでゆく。
自分はこの音を聞く為に生まれてきたのではないかと、そんなことを思う。
だが、弾丸は襲撃者に当たらなかった。
襲撃者は撃たれるのを見越し、ナイフを刺した後にすぐ場所を移動していた。
そして、背後からもう一刺。
健太郎にとって、それが致命傷となった。
(はは、あっけないもんだったな。
最後にもう一度、あの音が聞きたかった)
パンパンッ!
(そう、パンパ……)
それが最後の思考となった。
「笑い声で場所を特定できたのは、あなただけじゃなかったんですよ」
健太郎の手から奪い取ったガバメントを構え、里村茜は言い捨てた。
ナイフについた血を、鞄の中にあったタオルで拭き取る。
(手榴弾に、この銃、ナイフ……これでかなり有利になった)
二つの死体から武器と水を奪い、茜は早々にその場所を去っていった。
095宮田健太郎 死亡
【残り90人】