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「ひぃ〜〜〜……千紗、死にたくないです。お父さんとお母さんが悲しむです。
 神様、どうか千紗をお助け下さいです。お兄さんも助けてあげて欲しいです。
 大庭さんも、猪名川さんも、長谷部さんも、みんなみんな助けてあげて欲しいです。
 誰かが痛い思いをするのは嫌です。嫌です。間違ってるです……」
「あの……もしかして千紗ちゃん?」
「にゃ!?」
 理緒に声をかけられ、茂みの奥で震えていた塚本千紗(058)が、びくっと身体を硬直させた。
「待って下さいです! 千紗は何もしないです! 殺し合いなんて絶対絶対ダメですぅ!」
「落ち着いて、千紗ちゃん――」
「にゃあ、身体を差し上げて許してもらえるならそうしますです。お金も、うちはとっても貧乏ですけど
 頑張って払いますです。だから、だから……」
「聞いてッ! 千紗ちゃん!」
 理緒が、珍しく凛とした声で怒鳴った。
「は、はいですぅ……」
 千紗は怯えるよりもその大声に驚いたらしく、目を丸くして縮こまった。

あれ? 理緒ちゃんじゃないですか」
「やっと気づいてくれた……」
 理緒は、小さく嘆息した。そして、表情を引き締め、
「千紗ちゃん、こんな所に隠れててもきっと見つかっちゃうよ。私も頼りないと思うけど、
 一緒に、助けてくれそうな人をさがそ?」
「は、はいです。千紗、とっても不安でしたよ。理緒ちゃんが来てくれて、とっても嬉しいです」
 まるでもう助かったかのように表情を明るくし、千紗がごそごそと茂みから這い出た。
「千紗ちゃん、何か武器持ってる?」
「いいえです。そのかわり、変なCDをもらいましたです」
 そう言って、デイバックから簡素なつくりのケースを取り出す。
「こんなの、何の役にも立ちませんです。きっと、千紗は意地悪されたですね」
「ちょっと、見ていいかな?」
 理緒はCDケースのフタを開け、真っ白なレーベルのCDをしげしげと眺めた。
 よく見るとレーベルの一角に『1/4』と書いてある。
「……わけわかんないね」
「ですです。捨てるのはもったいないから持ってましたけど、理緒ちゃんが欲しいならあげますです」
「じゃ、持っておくね。そのかわり……」
 理緒は、ポケットからスタンガンを取り出した。
「これ。千紗ちゃん、もしも何か危ない目に遭った時は、これで身を守って」
「にゃあ〜、ちょっと怖いですけど頂きますです」
 理緒は、内心複雑な心境だった。
 正当防衛と言えるのかも知れないが、結果的に他人を殺して奪ったようなものだ。
 それで身を守れというのは、何だかすごく汚れた行為のような気がした。
(私、人を殺しちゃったんだもんね……だから、何かあったら汚れるのは私でいい。
 何でもいい。償いたいよ……)
「理緒ちゃん? 大丈夫ですか?」
「あ、うん、ごめんね。じゃ、行こう」
「はいですぅ」
 理緒と千紗は、島の道ぞいに歩き出した。

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