割とのんびり
「ちっ……」
御堂は思ったよりもイラついていた。
「勘がにぶったのかもしれねぇな。」
戦場でのそれは、死を意味する。
強化兵としてのそれに頼りすぎていたのかもしれない。
御堂は神社へと足を運んでいた。
もちろん気配は殺してだ。
並の人間には御堂の姿は恐らく見つけられないだろう。
「にゃ〜ご」
いや、見つけるのはたやすい。
「騒ぐなクソ猫。」
「ゴロゴロゴロ」
「ちっ!!」
御堂のイラつき。それは道具の調達がままならないことにあった。
誰との遭遇もない。…いくらかの死体は目撃したが、すでに持ち去られた後なのだろう、何もない。
手元に残る道具は、「げるるん」という名のジュースのみ。
「喉が潤わねぇぞゴルァ(゚д゚)」
というか、この液体…いや、物体は喉を通らない。
「てめぇ、こんなモノだけ器用に残しやがってっ………!!」
「にゃー」
「ツイてるぜぇ……」
御堂がこの島にきて、一番の微笑。
「にゃっ!?」
ぴろが猫なりに顔をひきつらせる。――可愛くない――
「みろよ相棒、俺の得意武器だぜぇ…!」
軒下に一丁の拳銃。
「デザートイーグルだな。口径は50、へぇ、結構でけぇじゃねぇか。」
上機嫌でベルトにそれを忍ばせる。
「よぉ、相棒、今から行動を開始するぜぇ。」
「にゃあ。」
岩切が殺られた。それは当然御堂の耳にも入っていた。相手は蝉丸か、それとも……
「まあ、行動しようぜ、慎重によ…ククク。」
そして御堂の気配は山中へと消えていく。ただ猫の気配だけがあたりに漂っていた。
御堂→【デザートイーグル回収】