思わぬ落とし穴
「何………爆発?」
遠くの方で爆発音がしたのを牧村南(080)は聞いていた。
「物騒ね、離れましょう。」
そう言うと南は爆発音とは反対方向に歩き出した。
(なるべく戦闘は避けたい、不用意に人との接触するのは避けるべきね。)
彼女は平和主義者だった。
「でも、いざとなったら私はこれを使えるのでしょうか。」
そう言って彼女がバッグから取り出した物は十字手裏剣だった。
しかも、理論上銃弾をもはじく超硬鋼鉄で作られた手裏剣だ。
「…ちょっと練習してみようかしら。」
南は一本の杉の木の前に立った。そして木の幹目掛けて手裏剣を投げた。
カッ、カッ!
二枚投げて二枚ヒットした。
「あら、以外と簡単ね。」
カッ、カッ、カッ!
三枚連続ヒット。
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ!
五枚連続ヒット。
「使えるわ、これ。よおし、今度は。」
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ!
十枚連続ヒット。
「これでいざという時も安心ね。」
そう言うと、幹から手裏剣を引き抜き始めた。
「!?」
南は鼻に感じる香ばしい臭いに気がついた。
「あら、アーモンドの香り………気を付けないと」
南は悟った、手裏剣に青酸カリが塗られている事を。
慎重に20枚を引き抜き終わると。再び人気のない方向に歩きだした。
【残り 82人】