美凪の前を歩いていたはるかが、唐突に足を止めた。
「遠野さん、そっちの刀、貸してくれる?」
「……はい、どうぞ」
ずしりと重い刀を受け取り、さらに自分の刀をもう一方の手で構える。
「よっと」
刀を振り、鞘を適当に落とす。
「……どうしたのですか? 一体」
「ん。何か、良くない事が起きる気がするの」
そう言って、前方の闇を不透明な瞳で見据える。
「遠野さん、退がってた方がいいかも」
「……はい。お気をつけて」
「ん」
少し目を細めて笑い、はるかは向き直った。
果たして、確かに危険はやってきた。