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079番、牧部なつみは途方に暮れていた。
一回目の放送で告げられた事実。
「……店長さん…」
そう、宮田健太郎は死んだ。
このとてつもなく不条理な島で。
もう五月雨堂に、あの笑顔が戻る事は無い。
いっしょに浜辺で語らう事も無い。
思い出になったことをまた現実の今として感じることはもう、できない。
これで、二度目。
居場所が無くなったのは。
なんで?
わからない。
こんなのはわからない。
いつもみたいに学校帰りに商店街に立ち寄って、おしゃべりする。
五月雨堂に行くと元気が出て。
それはきっとマナだけじゃなくて店長さんのおかげ。
――――それも、もう、終わった。

「……絶対に…許さない…」
あの高槻っていう厭な感じの人を。
あの人がいなければ、少なくとも魔法が使えるのなら。
私はきっと死んだっていいから店長さんを生き返らせてた。
でも、そんな高等な魔法、今はつかえない。
それに、店長さんを殺した、私の居場所を奪った人も。
他の人も、ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ…
もう、こんな世界、いたってしょうがない。
場所が無いのに、暮らせるわけが無い。
だったら、いなくなろう。
ここから。
だけどすぐにはいなくならない。
みんな、殺してから。
スフィー達はどうしよう。
殺したくはないけど、よく考えられない。
殺したくはないけど、それ以上に殺したい。
本当、よく考えられない。
よく考えられなくて、よくわからないけど、ひとつだけ、わかること。
「…私の居場所を…店長さんを奪った人たちを……私は絶対に許さない…!」

そしてなつみは今まで一度もあけていなかったバッグをあける。
その中にあったどうやら武器らしいもの。
普通の者ならば、どっちかというと『はずれ』の部類に入るそれは、
ひどく錆び付き、まるで使い物にならなそうな、全長30cmほどの短刀だった。
それを見てなつみは、きゅうっと唇の端を吊り上げる。
「もし使い方のわからないモノだったりしたらどうしよう、とか思ってたけど。」
なつみは健太郎の過ごした日々の、何気ない言葉を思い出す。
「古い物には『魔』が宿る…」
事実、相当量の魔力がなつみに宿っていくのが、なつみ自身よくわかっていた。
これなら、あのときの夢とまではいかなくても、それの簡易版。
ある程度の自分の支配空間を作れる。
罠を。
罠を張るんだ。
ただひたすらに耐えて獲物が引っかかるのを。
魔力が尽きるまで。
生命が尽きるまで。

「私のココロ…一人でも多く、店長さんを殺した人を殺そうね。 ココロも…協力してくれるよね」

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