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喫茶店から飛び出した秋子を見失った月島拓也は小さな藪に足を踏み入れた。
(ここに誰かいる…)
電波使いとしての感覚が敵(秋子)はここにいると告げている。

さくっ、さくっ、さくっ
膝まで生えた雑草を踏みしめて標的に向かう拓也。
所詮相手は棒っ切れを持った女、自分の優位は動かない。
「瑠璃子…瑠璃子、僕等以外は皆殺しにしてやるよ…」
どろりと濁った笑みを浮かべ右手のマグナムに目をやる。
弾も充分ある。
(あいつを殺してから喫茶店内の面子も…ククク)
その慢心が足元への注意を怠らせた。

「ガチィィーーーーーーーン!!」

「っーーーーーー!!」
骨をも砕く鈍い音と苦悶の声が響きわたる。
拓也の右足に食らいつく大きな鉄の爪…それは熊狩り用の罠だった。
「ぅぁぁぉぉぉ…」
マグナムを捨て両手で懸命に鉄の爪を外そうと試みる拓也。
しかし襲いかかる激痛にそれもままならず、くぐもった悲鳴だけが口から漏れる。
爪は脛の骨も砕きそうだ。
「痛いんだ…瑠璃子…兄さんを助けて瑠璃子、ルリコ、ルリコ…」
“ビキッ“
脛が爪に砕かれた瞬間、拓也の意識は途絶えた。

間もなくしてハンチング帽をかぶった長身の女が失神状態の拓也に近づく。
“ズドン!”
右手に持った散弾銃で拓也の頭を吹き飛ばしたその女は亡骸から銃と弾を奪い
改めて胸に向けて駄目押しの一撃を放った。

外した罠を拓也の服で拭い終わり、リュックに仕舞いながら篠塚弥生は呟いた。
「喫茶店ですか…由綺さんも居るかもしれませんね…道案内を頼みますよ」
その呟きは少し先の藪に身を潜めている秋子に向けたものでもあった。

「聞こえてらっしゃるんでしょ?喫茶店までの道案内、よろしいですね?」
拓也から奪った銃(マグナム)に安全装置をかけてベルトに挿し予備弾丸はポケットへ。
熊用の罠、拓也の食料&水は自分のリュックへと全てのアイテムを仕舞い終えた弥生は
改めて秋子の居る空間に言葉をかける。もちろん散弾銃への弾の装填も怠らない。

…幾ら藪の中とはいえこの距離で散弾銃を相手するのは危険だ。
…また彼女からは剥き出しの敵意は感じられない。
…それに喫茶店に残した名雪達の事を考えると時間は取れない。
数瞬の後、秋子は両手を挙げて姿を見せた。

ぐずぐずしてはいられない。
敵対する意思の無い事、また武器もこんな物しかない等最低限の会話を交わした後
喫茶店に残してきた者に殆ど戦闘能力が無い事を告げ
弥生の手を取って秋子は走り出した。

…月島拓也死亡
【残り77人】

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