永劫回帰
合流する相手を探して歩いている二人の目に映った黒焦げた二つの物体。
数時間前の爆発の結果だと一目でわかる。
しかし、少女はそれ以外の物−壊れた先行者に目を止めた。
「これ、中華キャノンのロボット!」
駆け寄った少女に少年が呼びかける。
「初音ちゃん、それ、どうする気だい?」
「これ、見た事あるんだ。確かここに…ほら、ちゃんとあった。内蔵型修理
キット。もしかしたら直せるかと思って」
「へぇ…意外だね。機械いじりが好きなの?」
「まあ…結構昔から機械の操作とかもしてたしね」
そう…500年以上昔からと心の中で付け足す。
少女が先行者を分解している姿に少年はふと、
(この娘、もしかして、マッドサイエンティスト?)
と思ってしまう。
「えーと、ロボットの復元は辛そうだけど、武装の再生くらいなら大丈夫かな?
」
その呟きとほぼ同時に、一人の殺人鬼が隙だらけの少年に向っていた。
その女性は少年に向って走り出した。
「お姉ちゃん!?」
初音は分解された先行者を見たまま言う。
その声に、千鶴は動きを止める。その直後に怯えた声で言う。
「どうしてここに初音が?」
しゃがみこんで先行者の分解をしていた初音に千鶴は気付いていなかった。
「お姉ちゃん…まだ、人を狩るんだね…」
その言葉に千鶴は右手の爪を取り落とす。
続けて、初音が言っているとは思えない冷たい言葉が発せられる。
「本当は、私の方が偽善者なんだよね…」
「はつ…ね?」
「エルクゥを皆殺しにしたのは私…大切だった人を殺され、その人の
思いを叶えるために同じくらい大切な人たちを殺したの。
だから…今回も『狩猟者』を裁くの…リズエル!」
振り向きざまに中華キャノンが火を吹く。
しかし、その弾道は逸れ、千鶴の左肩を軽く抉っただけだった。
「千鶴お姉ちゃん、今の私から逃げて!」
千鶴は力なく左肩を押さえながら、去って行った。
その直後、再び冷たい声で呟く。
「ソシテマタ、ツライ、ヘイワナヒビヲ、ジローエモント、スゴスノ…」