似たもの同士?
「……」
「……」
「……」
その人影は青年だった。
顔は憔悴しきっていたが、瞳には明らかな意志を持っていた。
そして、右手には……水鉄砲?
「誰、あなた。取込み中なんだけど?」
突然の闖入者にマナは冷たく言い放った。
「すまない。三つ編みで大人しそうなある女の子を探している。
姿、見かけなかったか?」
「随分と礼儀がなってないじゃない。ともかく見かけなかったわよ。
あなたは?」
きよみに向かい、話を振った。
「知らないわ。あなたの女?」
こちらもさらっと言い捨てる。
「いや……ありがとう、邪魔したな」
青年――祐一はそれだけ確認すると、二人の前からすぐに姿を消した。
しばしの沈黙。
『何、今の』
二人同時に口を開いた。
「……」
「……」
『ふぅ』
溜息まで同時だった。
「……」
「……」
「変なの」
先にマナが口を開く。
その顔には微笑みが浮かんでいた。
「そうね……」
きよみもつられて表情を崩す。
「私はもう行くは。せいぜい死なないように気をつけるのね」
マナは振り返り歩き出した。
「あなたもね」
きよみは逆の方向へ。
始めはいがみ合っていたのに、今はもう悪い気はしなかった。