サイコメトラー楓
爆発の跡地。
そこを複雑な思いで見つめていた。
「何があったんだろう、ここで……。」
楓が複雑な思いでそこを見つめていた。
一部分だけ、寂れた荒野となったそこは、一人の人間の悲しみ――だけど
それでも何かをやりとげた男の最後の場所だった。
「……」
玲子もまた何も言えず視線をそらす。
「…あれ、あれは何?」
黒く光る金属片。
玲子の目に何故か異質に映るそれは
「鉄の――爪?」
玲子がそれを拾い上げた。
形状からして右手用……
「爪――ですか。」
楓が何時の間にか背後までやってきていた。
「う、うん。」
「……」
複雑な思いでそれを玲子から受け取る。
(姉さん…)
鬼の爪。否が応にも千鶴を連想させる。
「無事で……いて。」
「楓ちゃん、なにか分かったの?」
「いえ、何も……」
「ずっと爪とにらめっこしてたから。サイコメトリーみたいな能力を
持ってるのかと思っちゃった。」
「違います。」
018
柏木楓 【千鶴の爪(右手用のみ)回収】