カナシミの深さ
嘘だ………
嘘だ、嘘だ………
「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
美咲さんが死んでいる。
美咲さんが……
ミサキサン……
そんなこと……あっていいはずないじゃないか……
だがそれは自分のせいで。
自分が別れたから、結果的に美咲さんを見殺しにしてしまった。
その事実が、俺には耐え切れなくて。
そうだ……。
こんなバカなこと、あるわけないじゃないか。
……はっ、俺も疲れてるな。
そうだよ、あれは幻覚だ。幻覚なんだ。
ほら見ろ、目の前には何も、何もないじゃないか。
昏い昏い、『何か』があるだけだ。
どこにいるんだ、美咲さん。
待ってろ、絶対、探し出してやる!
そしてあの男……見つけたら……殺す。
間違っていることはわかってても、事実の前には、理性はあまりにもちっぽけで。
俺は、心を閉ざした。
それが、俺の最後の思考。
『俺が』わめいている。
美咲さんの知り合いと出会い、喜んでいる。
なぁ、『俺』。
美咲さんは、もう、いないんだぜ?