崩壊、そして死
「いひぃいひぃいひぃ・・・・」
太田香奈子(010)は彷徨いながらどこをどう歩いたのか住宅地に来ていた。
右手には毒の塗られた鋏を持ち足取りはおぼつかない。
時々口から奇声を発しその場でケタケタと笑い出す。
「ころしたころしたセイギノミカタタタタコロシタノコロシタノヒフフヒヘ」
香奈子の精神は松原葵(081)を殺害したのを境に崩壊の下り坂を
転がり続けていた。 月島瑠璃子(060)と再会できなかった事もその崩壊に
拍車をかけていた。
やがて角を曲がりそこで見た血溜まり、そして導かれるようにフラフラと
入っていった民家の一室に転がる瑠璃子の死体――――
「イヒィィィーッ瑠璃子瑠璃子瑠璃子るりこルリこーッ!!」
それが彼女の口にした最後の言葉だった。
・・・・・・しばしの沈黙。そして・・・
あとには瑠璃子の死体に重なるようにのどに鋏を突き立てた香奈子の死体が
転がっているだけであった。
【010 太田香奈子死亡(自殺)】
【残り63人】