忘却


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川岸で一人の少女がうめいていた。
ぴくぴくと体が動いている。
「けほっ、けほっ」
かなり多量の水を飲んでしまっていたらしく、咽ながら水を吐き出していた。

「わたし、どうしたんだろう?
 ここはどこなんだろう?
 なんでこんなとこにいるんだろう?」
ふらふらになりながらも沢渡真琴はようやく体を起こしていた。
「あうー、ずぶぬれになってる。
 何で水の中なんか入ってたんだろう?
 あれ?っていうかわたしって誰?」
水の中から這い出てきて真琴はぐったりと倒れこんだ。
「あう!あたま痛い。思い出そうとすると頭がずきずきする…
 だめだ、何も思い出せない…
 わたし、こんなとこで何やってたんだろう?」
藤田浩之の魔の手から逃れたのはいいが、沢渡真琴は落下時のショックで記憶を失っていた。
「あうー、これからどうしよう…」
―――――相沢祐一
「あれ?今何か思い浮かんだような…
 そうだ、相沢祐一!
 わたしの憎むべき相手。
 わたしはこいつを探してたんだ。カリを返すために…
 よ〜し、待ってなさいよ!すぐに見つけてけちょんけちょんにしてやるんだから!」
そう言って、少女はおぼつかない足取りで川岸を一人歩いていた。


沢渡真琴の武器 《パチンコ》 川底に放置

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