目覚めはまぶしくて
「……なんだったんだよ、畜生」
俺は目を覚ました。
涙の跡……泣いていたのだろうか。
よくわからなかった。
「気がついたようだな」
「オッサン……」
あの男が声をかけてくる。俺を殺さなかったのか?
どいつもこいつも、甘すぎだ。
「泣いてたけど、大丈夫?」
「……なんだ、お前は?」
目の前の女――多分――は、変なお面を被っていた。
その表情がどうにも滑稽で、気がついたら俺は笑っていた。
「笑えるではないか、少年」
「……」
オッサンが言った。
何故だか、今の俺には『殺す』という感情が涌いてこない。
それは、この島に来てから始めてのことで、なんだか気持ちがよかった。
忘れ物を見つけた、そんな時の気分に似ていた。