白い、決意、そして終幕。


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「人は弱いものです。とても弱い。猜疑心、嫉妬、劣情、優越、劣等…。あり
とあらゆる、負の感情があります。それでも。
大切な人がいるのであれば。守りたい人がいるのであれば、人は強くなれる。
私は、少なくとも、私はそう、思っています。だから、死を賭して、この場で
語りかけます。
疑うのも、争うのも、止めて、協力しあってください。
活路は醜い争いからは生まれません。決して、生まれないのです。
私は、これから主催の手にかかり、死ぬことにはなるでしょう。でも、それは。
無意味な死ではないと、そう思っています。
私は参加者の誰の手にも掛からずに、済むのです。そして、自らが出来る、たっ
た一つの反抗を、主催にしてやれたのです。
さあ、考えなさい。あなた達が、今するべき事を。本当の敵は誰か。想い出して
下さい」
そこまで、言い終えてきよみは腹部を押さえた。
何か、異物が、腹で膨らんでいる…!
「最後に!!蝉丸さん!!」
絶えきれず、膝をつく。コンクリートと膝のぶつかる音が、マイクを伝わり、島に
響いた。
「聞こえますか?私は、もう、ダメです。でも、悲しまないで。私は私の誇りに
従って、戦うことが出来たのです。私はこうして、私を守りました。
だから、蝉丸さん、月代ちゃんをみんなを守ってあげてください。
私は、こんなことしかできないけど、でも、蝉丸さんなら、切り抜けられる。そう、
信じてま……」
その瞬間、爆音が、響いた。
きよみの最後の断末魔として、島じゅうに、響く…。
その場に、残されたのは、無惨な躯だった。
生前の儚げな美しさはなく、ただ、惨い、肉塊になりはてていた。
だが、一部、無事だったその顔は、満足げに微笑んでいた。

【015杜若きよみ・腹部の爆弾により、死亡】
残り・61人

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