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迷走演舞〜序〜


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「………」
楓は無言のまま、歩いていた。
右手には鉄の爪。振り上げられることは無い。
「か・え・で・ちゃん!ど〜したのぉ、元気、ないよ?」
あくまで明るく、かつ心配そうに楓の顔を覗き込む。
「……いえ、何でもないんです。」
「下を向かないで行こう?」
「はい……」
牧村南を加え、芳賀玲子と柏木楓の二人は森の中を慎重に進んでいた。
「楓ちゃん、私達ね、こみパでサークル参加してるんだけど、一緒のサークルやらない?
あと三人程メンバーいるんだけどみんないい子達だし。ん…まあ、ちょっと生意気な子も一人いるけど
きっと楽しいよ?」
「………はい。」
自分を励ましてくれている、そう感じた楓はすぐ――といっても何か別の不安が無いわけでもない――頷いた。
「それと南さん、ここであったのも何かの縁、ちょ〜っとばっかしこみパ…当選させてくれない?
いや、次回だけでいいんですけど。」
玲子が楓の方を気にしながらそう切り出――
「不正はだめですよ。」
「……やっぱり?にゃはは…ダメかぁ…」
一秒で却下された。
「ふふっ、」
そのやり取りに
「あっ、楓ちゃんが笑った…やっぱり笑い顔のほうがぜんぜんいいよ☆」
「か、からかわないでください。」
気恥ずかしさからか、赤面する楓に南も控えめに笑う。
「私も早く帰ってこみパに専念したいです。待ってますからね、楓ちゃん。」
「は、はい。」
少しずつだが、楓も南に対して警戒を解きはじめていた。
そして、警戒の意識を徐々に周りへと飛ばしていく。
また、いつどこから誰が襲ってくるのか分からないからだ。
二人を守ってどこまで闘えるか――楓の手のひらの汗が消えることは今もない。

「―――!!!」
楓が突如、二人の前方に身を踊りだす。
「ど、どうしたの?」
突然の楓の変貌に玲子が声を震わせる。
「下がって――!何かくる!」
すごい勢いで向かってくるものすごい殺気の塊。玲子たちが下がる間もなく現れたそれ。
鬼――、一部ではそう呼ばれる魔物。

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