迷走演舞〜終劇〜


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「これは…」
屋上の入り口に意味ありげなCD。
「……これは……?」
楓がそれを拾い上げる。
「あら、…それ…」
南もそれに気づいて、手を伸ばす。
「私に貸してくれないかしら…?」
だが、楓はそれを何故か拒んだ。
(何故だろう…この人に渡しちゃいけない気がする…)
嫌な予感がとまらない。
(……怖い……)
漠然とそう、感じた。
時が止まる……静寂……そしてそれは永遠ともいえる凍りついた空間だった。
「……しょうがないわね。」
やがて、南が溜息とともに折れた。
「それはあなたが持っていて頂戴。そろそろ戻りましょう、下にいる玲子ちゃんが心配ね。」
「そう…ですね。」

楓は玲子の所に戻るまで、南の前を歩くことができなかった。


018 柏木楓 【CD回収】

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