何かを守れる強さ、そして弱さ
誰とも知らぬ女の最期を、どこか夢心地で聞いていた。
(………。)
確かに一理ある。
私も、大切なものを守るためになら…
そこまで考えて、やめる。
嘘ね。昔の私は弱虫で…あの子みたいに強くなくて…
光を失った少女。本当の強さを持っていたかは分からない。
その自分のすべてを受け入れる、それはあくまであの子の強さ、
そして、すべてをあきらめてしまったかもしれない弱さ、儚さだったのかもしれない。
今となっては、真実はすべて永遠の闇へと消えた。
守ってあげたかった、陰からいつでも支えてあげたかった。
だけどそれは二度と叶うことのない夢物語。
「だから奪うの。私から大切なものを奪った人からすべて……
必ず殺してやる…友達も…命も…大切だと思えることのすべてを。」
私の今の道標。見失わないよう前へ、前へ……
少しずつ、復讐から狂気へと――。
たくさんの人の死を扱うには、彼女の心は脆すぎた。
私は強くなる……守れなかったあの子の為にも…
本当は心の弱さであったのかもしれない。
だが、少しずつ狂気の扉を開きつつある彼女――雪見には、
その弱さを受け入れることはなかった。