訓練
仲間を探し、そして本当の敵を討つ――
とはいえ、アテもなくさまようには限界があった。
蝉丸には問題無いだろう。鍛えられた軍人であり、
このような環境であっても冷静に落ち着いて行動できるだけの経験がある。
だが、月代にとってはそうではない。
「(・∀・)蝉丸ぅ〜ちょっとだけでいいから休ませて……。」
いかに運動神経がいいとはいってもやはり一般人だ。
ただでさえこの島は死の匂いが濃いのに…
月代の体力は限界に近いだろう。
(いかん…月代の事も考えてやらねば。)
蝉丸はあたりに人の――敵意の気配が感じられないのを確かめると、
近くの岩場に腰を下ろした。
「いや、少し…しばらく休憩してから行こう。体力は大事だ。」
「(・∀・)ありがとう……蝉丸。」
「(・∀・)蝉丸、休憩して無くていいの?」
月代の休憩中にも蝉丸は鍛錬を怠らなかった。
強化兵ではない今、蝉丸とて生き残れるかは分からない。
「大丈夫だ。…こうしているほうが落ち着くのでな。」
「(・∀・)……私も何か手伝う!」
「しかし…」
「(・∀・)走らないだけで休憩になるよ。私も…蝉丸の力になりたい。」
「む」
月代の顔は真剣だった…ような気がする。
「(・∀・)分かった…では。」
月代に少し離れた場所から小石を投げさせる。
対銃戦闘への訓練だ。
「いくよ〜!」
もちろん見てからよけるのではない――というか、強化兵でもすべてよけられるものではない。
撃たれる前に、弾道を読むのだ。
小石が放たれる瞬間から蝉丸はそれをよけ続け、月代に近づいていく。
蝉丸の体術は見事なものだった。
その距離が3b、2bと近づいても小石程度ではかすりもしない。
そして…
「(・∀・)ばーーん!!」
月代が体ごと突っ込んでくる。蝉丸がその体を受け止めた。
「何事だ、どうした?」
「(・∀・)ダメだよ〜よけなきゃ。私がナイフ持ってたら死んじゃうよ?」
「む」
少々面食らってしまったが、思わず苦笑する。
「(・∀・)でもさ…嬉しいかな?蝉丸が、私のこと…受け止めてくれて。」
「む」
月代の顔が赤く…なってるような気がする。
蝉丸は泥沼に腰までつかって抜けられないような思いに駆られた。