(・∀・)ヨクナイ!
――拝啓おふくろ様
もう、あなたに文を送るのはこれで最後にします。
それというのも、便りが無いのはなんとやら、という言葉にあやかろうと思い立ったからです。愚かな考えではありますが。
さて、バカ息子潤の近況をお話いたします。
かのバテレン製らしきヤンキーともずくを摂取していましたところ、突如として脳天を、頑丈なノートパソコンに直撃されました。
そしてその折、あなたをこの世に送り出したわがグランドマザアなどに再会致しました。周囲にはなぜか、ラツパなどを吹く羽の生えた子供などもおりました。
今にして思えば、あれが臨死体験というものでしょうか。
その後、その天からのプレゼントであるノートパソコンを起動いたしました。女の子に変形しないことには
並々ならぬ不満を感じましたが、私はもう大人ですので我慢致しました。誉めてやって下さい。
CDドライブ(先ほどの横文字といい、敵製語を使う不忠義をお許し下さい)を覗いてみましたところ、果たして純白のCDが入っておりました。
私は海綿体に熱き血潮をたぎらせ起動してみましたが、何も起きませんでした。
改めてCDの内容を覗いてみると、残念ながら性的欲求を満たすようなものは入っていない事が判明致しました。
日頃信仰している大ガディム神は、なぜかくも酷な仕打ちを潤になさるのでしょうか。
……とりとめが無くなってしまいそうですので、名残は尽きませぬがこの辺で。
どうか潤が帰ったおりには、もずく以外の食事でお迎え下さい。
では。
「宮内さん。このまま黙々と進むのも何だし、何か話でも」
「そうですネ。気を紛らわせるのも必要デス!」
俺は、彼女に振れそうないくつかのネタを頭の中から検索した。
「ねえ宮内さん、やっぱ一日の回数は多いの?」
――自慰の。
「ねえ宮内さん、やっぱ経験豊富なの?」
――性交の。
「ねえ宮内さん、やっぱ人気ないの?」
――アンタの。
(いかんぞ。なんかヤバいネタばかりじゃないか)
俺は焦りの雫を垂れ流し、ちらりと宮内さんの方を見た。
(そうだ。何か彼女の長所についての話題を振るんだ!)
「ねえ宮内さん」
「What?」
「ズったら気持ちいいでしょうね、その胸」
「……」
なぜか、宮内さんが沈黙する。
「いえ。俺の知り合いもあなたほどではありませんが、やはり立派な胸をしていまして。
男には『頼みづらいプレイ』ではありますが、やはり宮内さんには欠かせないかと」
「……」
ガシャキッ、と宮内さんがウォーターガンを構えた。
「ぬ! 敵ですか!? 宮内さん、さがって!」
俺はB級アクションムービーのように無意味に転がり、明後日の方向へ拳を構えた。
「どこからでも来い、ゲス野郎ども! あうっ」
背中を水撃に打たれ、俺は仰け反った。
「……ワタシ、下品なネタは嫌いデス」
「す、すみません……」
俺は、何が悪かったか理解できないまま謝った。
おふくろ様。やはりメリケン製ヤンキーの考える事は潤にはわかりません。