分離


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『なつみ、なつみ…』
もう一人の私が、私を呼ぶ。
『私、やっぱり待てない。自分で見つけだす事に決めた。犯人を』
「たった一人で? この刃物一本で?」
『自信を持ちなよ。私たち、人とは違うんだから』
「そんなの、無理だよ…」
『意気地なし!』
そう言って、ココロはぷいと後ろを向いて、
『もういいわ。私だけで十分』
そのまま窓から外へ飛び出していく。
「あ、待ってよ!」


【2日目・早朝】
朝日のまぶしさに目が覚める。
でも、結界はもう消えてた。そして、私のココロも消えてた。
あれは夢? それとも…

「ひとりに、なっちゃった」
窓枠に手をかけ、外を眺めながら、なつみはつぶやいていた。
もう一方の手で、支給された刃物をぎゅっと握りしめて。

夢の中で言ってたように、犯人を見つけて仇を取ったら戻ってくるかもしれないし、
もしかしたらずっと戻ってこないかもしれない。
これからは、自分は自分でどう生き抜くか考えないといけないんだ。

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