救世主


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「なに寝てんのよ、折原ぁ」
 折原が倒れ伏す。
「夢の中でまで寝るなんて、折原ったら阿呆ねぇ。
 私と折角デートできるのよ?
 現実じゃできないんだから楽しもうよぉ」
 折原を揺さぶる。
 揺さぶる。
 揺さぶる…。
 起きない。
「なんて寝ぼすけ…」
 揺さぶる。
 揺さぶる。
 揺さぶる…。
「ねえ…」
 揺さぶる…。
「ねえ…」
 揺さぶる…。
「ねえ!」

ゴロン

 折原が仰向けになった。
 血が出ている。
 体に力が入っていない。
 呼吸も…。していない?。

 おかしい。
 幸福な夢のはず。
 この血は何?
 認めたくない。
 夢であって欲しい。
 でもあまりにもリアルだ。

「いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!」
 現実感が戻ってきた。
「折原! 起きてよ! 起きてよ! 息してよ!!」
 必死で揺さぶった。
「折原! 折原! 折原!!!」
 どうしたらいいのかわからない。
 揺さぶるのが正しいのかどうかもわからない。
 こんなことなら保体の授業もっと真面目に聞いておくんだった。
 そんな間抜けなことまで頭をよぎる。

 泣き崩れた。
「折原…。折原……。う…、うぐ…」
 なにもわからない。
 こんなときどうしたら良いのかなど知らない。
 一般人が知る由もない。
「おりはら…」
 涙を流すだけ。

 夢は現実。
 現実は地獄。

 目覚めてみたらそこは地獄。

 でも地獄にも救いはあるのだ。
 救世主はいるのだ。
「浩平君か!?」

 女装マッチョの救世主。

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