夜の一幕


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 見張りの順番はこうだ。
 祐一、繭、レミィ、北川という順番に、一時間に一人づつ交代する。
 室内の時計で八時からこのサイクルは始まった。

from 8 to 9 祐一and繭
「……」
「……」
「……なぁ」
「何……?」
「キノコの効果てやつぁ、いつ切れるんだ?」
「そんなこと知らないわよ」
「切れたとこ、見てみたいぞ」
「……恥ずかしいから嫌。その時は、あなたの前から消えるわ」
「残念だ」
「そう、よかったわ」

from 9 to 10 繭andレミィ
「レミィさん?」
「What? どうしたノ?」
「怖くないんですか?」
「んー、怖くないことないヨ。でも、今は自分にできる事を、やるしかないヨ!」
「……そう、強いんですね」
「エヘヘー。サンキュー!」

from 10 to 11 レミィand北川
「……」
「どうしたの、ジュン? 放送から、元気ないヨ?」
「………ず……」
「?」
「もずくが……食いたい……」
「おなか、すいてるの?」
「いや、もずくだ。もずくを、ただ純粋に求めている。
 そう、俺のハートが真っ赤に燃える。
 もずくを探せと、轟き叫ぶぅぅぅ!」

from 11 to 0 北川&祐一
「……」
「どうした、北川。放送の時から、やけにお前らしくないぞ?」
「………ず……」
「?」
「もずくが……食いたい……」
「……」
「俺のハァトが……」
「誤魔化すなよ。ま、無理に言わなくていいけどな」
「そうか、あの子は簡単に流せたのにな」
「レミィか?」
「あぁ、そうだ」
「……」
「……」
「……」
「従兄弟が死んだんだ。住井護、さっきの放送に入っていた」
「何だって?」
「昔からいろいろ悪さしてた。あいつは要領がよかった。
 今の俺がいるのは、あいつのおかげだと言ってもいい」
「はた迷惑な奴だったんだな」
「だが、そのあいつが……」
「おい、流すな」
「そのあいつが、まさかこんな所で死ぬとはな」
「……」
「相沢。これからどうするんだ?」
「茜を探して、その後は知らない」
「お前の女か?」
「馬鹿言うな」
「そうか……俺達、どうなるのかね」
「さぁ、な……」

 夜はふけてゆく――

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