ここから伝える物語
「じゃ、かずき…楓ちゃん、いってくるね」
名残惜しむように、寂しげなその言葉は夜の森へと消える。
「すべてがおわったら…また…ね」
その時は泣こう。涙尽き果てるまで。
まだ消えぬ涙の痕を乱暴に手で拭う。
「かずき達の想い……絶対に伝えるからっ!!」
そして、詠美は歩き出す。
大いなる悲しみを心の扉に仕舞って。
かけがえの無い友達、
そして、短い間だったが確かなぬくもりを確かめあった、あの人の遺志を継いで――。
大場詠美【柏木楓のCD回収】