ふたりだけのせかい〜sacred days〜
そこは二人だけの世界。
全ての介入が無意味となる世界。
度々聞こえる銃声も、定時放送も、彼等にとっては意味をなさない。
彼等が出会い、その世界が生まれた。
星空の祝福する下、彼等はいた。
「ねぇ、浩之ちゃん」
「どうした? あかり」
「ちょっと、話し疲れちゃったね?」
「あぁ、そうだな」
「でも、まだまだ話し足りないよね?」
「そうだな。俺達の過ごしてきた時間だからな。いくら時間があっても、足りないぜ」
「ふふ、そうだね」
「あぁ。だから、もっと話そうぜ?」
「うん……ねぇ、浩之ちゃん?
こうして星空を見上げてると、私達、世界に残された最後の二人みたいだね」
「ずいぶんとおかしなことを言うんだな」
「酷いよ浩之ちゃん……」
「はは。あかりらしくて、いーんじゃねぇか?」
「今日で世界が終わっても、私は幸せだよ。浩之ちゃんといるんだから」
「あかり?」
「世界に残された最後の二人って言ったよね。だから、浩之ちゃんがいなかったら生きていけないんだ」
「……俺もだぜ」
「浩之ちゃん、守ってくれるって言たよね。もしも、どっちか先に死んじゃたら……」
「……わかった。約束する。だけど、生きて帰るぞ?
どっちかが死んだりしたら、それは世界の終わりだな」
「そうだね……。
聖なる瞬間っていうのかな。
好きな人と迎える、世界の最後の瞬間っていうのは」
二人、口づけを。
この世界がいつまでも続くようにと――