命、散って
全くなにやってんのかしらね、私は。
この頃の娘達ったら、生意気なばかりで、大事なところでしっかり動けないんだから。
ちゃんと逃げられたのかしら。逃げたわよね? でないと私が虚しすぎる。
しっかり生き延びなさいよ……。
そして、まだ生きているはずの私たちの妹。
あの娘は、無事生き延びられるかしら。
仙命樹の影響が少ないから、身体的な優位は少ないかもしれないけど、
私のように思い悩む必要もない。
そのせいか、まっすぐに育っていた。ちょっと生意気だったけど。
彼女には幸せになって欲しい。
蝉丸さん、任せたわよ?
そして、俊伐さん。
本当は現世で愛されたかったけれど。
あなたの愛したきよみさんのように、みんなに誇れるようなことは何も
できなかったけれど、今そこで失われるかもしれなかった命を長らえさせる
ことはできたと思う。上出来ではなかったけれど、自慢しても良いわよね?
それぐらいのことは、私だってやったんだって。
それにしても、いざ死ぬとなったらあっさりとしたもの。
仙命樹の効果で老いがないことで悩み、自由に死ぬことすらできずに悩んだ
ことがまるで嘘のよう。
私は充分に長く生きた。
最後に人助けができた。それで充分。
先にあの世で待ってるわ、俊伐さん。
俊伐さんがこっちに来るのを、ゆっくりと待つことにするわ……。
……或いは。
俊伐さんは覆製身の私と同じところには来られないのかもしれないわね。
同じ人という生き物ではないんですもの。
そんな身分であなたを愛そうと言うこと自体が間違いだったのかも。
嫌な考え。
けれど、もしそうならば、私と同じところに来られるのは……。
嗚呼、光が……。
広がって……いく……。