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夕餉


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江藤結花・来栖川芹香・スフィーの一行は、まだ森の中を歩いていた。
リアンたちとはまだ出会ってない。
以前と比べて、武器が増えた分多少の自信はついた。
だが配給のパン以外何も食べてなかった3人は、空腹で気が滅入りそうだった。

行けども行けども森ばかりだった視界の先が徐々に開けてきたかと思うと、目の前には
何の変哲もない街並みが見えてきた。
「へえ〜、この島って森と川だけじゃないんだ」
スフィーがつぶやく。

とりあえず、目に付いた家の玄関まで行ってみる。
ニュータウンによく建っていそうな小綺麗な一戸建て。
「ごめんくださ〜い。誰もいませんか〜?」
結花が声をかけたが、当然返事はない。
「入りま〜す」
ドアに鍵はかかってなかった。

家の中は、家具や調度品などが置いてある、ごく普通の室内だった。ただどの部屋も
妙に整然として、いわゆる「生活臭」がないのが気になった。
「わ、冷蔵庫の中身までちゃんとある」
結花の声に、他の2人も台所に集まった。
中身といっても、ミネラルウォーターや缶詰といった保存が利く物ばかりで、生ものは入っていない。
「う〜ん、これくらいあればちょっとした物が出来そうね」
「本当?」
空腹で滅入っていたスフィーの顔に笑みが戻る。
「うん。"HONEY BEE"の看板娘、この江藤結花におまかせよ!」

それから約30分後、台所のテーブルには黙々と缶詰の中身を食べている3人の姿があった。
「てへっ、ごめんね」
結花がツナ缶を食べながら頭をかく。
「言い訳じゃないけど、火が使えないんじゃお手上げよ」
そう、台所にあったガステーブルが使えなかったのだ。結局、缶詰を開けて食べるだけになってしまった。
「でも、食べ物にありつけただけでも良しとしなきゃ」
「うん」
「………」
そう言うと、3人はまた黙々と食事を再開した。

「…結構いっぱい建物があるんだね」
食事の後、スフィーと結花は2階のベランダから外を眺めていた。
闇夜の街には街灯の明かりだけでなく、いくつかの建物には明かりが点っている。
「この街って、人が住んでるのかな?」
「う〜ん、そんなことはないんじゃない」
「って事は…」
お互い顔を見合わせて、
「敵!?」
声が合った。
「とにかく、他の参加者がいることは間違いないわね」
「この街にリアンたちもいるかなぁ?」
「いるといいね」
二人はしばし静かに町並みを眺めて、
「さ、早いとこ寝ましょ。朝になったらまたリアンたちを探そう」
「うん」

その頃、1階のリビングでは芹香がソファーに横になっていた。
「………」
何か不穏な空気を感じながら。
最も、その不穏な空気がこの場所から少し離れた建物から来ている事は、芹香にもわからなかったのだが。

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