ふたりだけのせかい〜world end〜
「畜生……」
浩之が呟いた。
「あかり……約束、守れなくて……わりぃ……」
浩之があかりに笑いかける。
その笑みに何がこめられているのか、あかりにはわかったかもしれない。
「そんなことないよぉ……ひろゆきちゃんといれて、幸せだったよぉ」
浩之を抱き締める。
涙が、あかりの頬から、浩之の頬へと伝わった。
誰かの声が聞こえる……ような気がした。
だけど、関係ない。
ここはふたりだけのせかいだから。
「……さっきは、あんなこと言ったけど……。
……あかり、お前、は……生きて……」
「ダメだよぉ、ひろゆきちゃんがいないと、ダメなんだよぉ!」
叫ぶ。
あかりは浩之の腹に刺さっていたナイフを抜き、自分へと突き刺した。
あかりの口から吐かれた血が、浩之の顔にかかる。
「……これで、ひろゆきちゃんと……一緒だよぉ」
満面の笑み。これ以上ない、幸せな。
「馬鹿……でも、もう……一緒だな……」
驚きその光景を見つめていたが、浩之は最後にはそう言った。
「……うん、そうだね。
ひろゆき、ちゃん?」
これからも、よろしくね?
最後のキスを。
二人笑顔で、手を繋いだまま。
星空の祝福を全身に受けて。
ふたりの世界は、閉じられた。
「祐介さん。私達のしたことって……何なんでしょう……」
「わからないよ……わからないよ、畜生……」
止めようとしただけだった。
人が死ぬのを見るなんて、御免だった。
だが結果的に、三人の命が失われた。
「……ちくしょう……」
力なく、拳を地面に叩き付ける。
夜の闇が、残された者を、祐介と美汐を、包み込んだ。
残酷に。
限り無く、残酷に。
【025神岸あかり 074姫川琴音 077藤田浩之 死亡】
【残り45人】
【武器、所持品全て、後の人に任せます。浩之はCD二枚所持】