Unexpected


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「うーっ、つまんないよぉ」
母親と別れてわずか数分で名雪は退屈し始めていた
「何があっても出るなっていっても、つまんないんだよぉ
お母さん早くあゆちゃん連れてこないかな、早くあのときの雪ウサギみたいに
ぐちゃぐちゃにしてやりたいな。簡単に殺したりなんかしないんだ、生きたままたっぷりと泣かせてやるんだ。
そして、とどめは祐一の目の前で刺してやるんだ、そしたら、きっと・・・・・」
名雪の妄想は加速して行く。

「名雪、いままでごめん、俺は悪い夢を見ていたんだ」
「やっとわかってくれたんだね祐一、でももう遅いよ」
「そんな・・・・・俺、名雪の言う事なら何でも聞くから、だから見捨てないでくれよ・・・・」
「うーん、じゃぁこれから1ヶ月間毎日イチゴサンデーおごってくれたら許してあげるよ」
「おごるおごる、これから一生でもイチゴサンデー食べさせてやるよ」

そして妄想はクライマックスを迎えつつあった。

「もうあんな悪い子にだまされちゃダメだよ、私がそばについててあげるから」
「名雪、今のって・・・・もしかしてプロポーズかい?」
「もぅ〜女の子にそんなこと聞くなんて、祐一ってホント、デリカシーないね」
「ごめん・・・・でも、俺の気持ちも同じだから・・・・ずっと俺のそばにいてくれ!名雪」
「うん・・・・・祐一もきっとそう言うって思ってたよ・・・・ねぇキスして」

そして祐一は私に熱いキスをしてくれて、そんでもって結婚式は白い教会で
スイートホームは暖炉のある大きなお家なんだよ、子供は3人くらいほしいなぁ。
えへへへへへ・・・・・・。

妄想も一段落すると、また退屈の虫が騒ぎ出す。
「ちょっとくらいなら・・・・いいよね」
体育倉庫から顔をちょっとだけ覗かせる・・・・とそこには
「あっ、ねこさんだ。ねこーねこー」
偶然にも一匹の野良猫が夜の散歩中であった、これを見逃す水瀬名雪ではない。
名雪の異常な雰囲気におびえてか、野良猫は校舎に向かってまっしぐらに逃げて行く
「ねこーねこー、待ってよぉ」
もはや母親の言いつけも忘れ、一心不乱に猫を追い掛け回す名雪。
しかし、もうすでに日は落ちている。
「あれ・・・・ねこさんいなくなっちゃったんだよ、どこいったのかなぁ?」
「もしかして中かな・・・・・?」
名雪は一階部分の窓の鉄格子を力いっぱい動かしてみる、が外れない
「うーっ、どこか入れる場所はないかなぁ・・・・」
手当たり次第窓の鉄格子を引っ張るがまるで外れない
この頃、校舎内では凄まじいバトルが繰り広げられているが、名雪の耳には入らない。
最後の1箇所、1F男子トイレの窓の鉄格子を引っ張る、工事がそこだけ手抜きだったか簡単に外れた。
と、同時に猫の鳴き声、他にもっと騒がしい音がしているだろうに・・・・しかし名雪にはさっぱり聞こえない。
人間、見たいもの聞きたいものを優先するものである、まして名雪はすでに精神の均衡を欠いている。
「やっぱり中だったんだね、もう逃がさないんだよ」
こうして水瀬名雪は幸か不幸か激闘の渦中へと自ら踏み込んで行くのであった。

【水瀬名雪,校舎内へ】

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