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ここらで休憩タイム


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雑木林をしばらく歩いていると、小さな凹みを見つけた。
深さは1メートル弱、半径は3メートルほど、意外と広い。
「おい、ここで休むぞ」
「…うん」
先程までベソをかいていた詠美はすっかりテンションが下がってしまった。
何故ここを選んだのか…それは、こういう所の方が敵に発見されにくいからだ。
今の御堂では、凡兵2〜3人が相手でも危うい状況だ。それは御堂本人が一番良く知っていた。そのため、あえて隠れることを選んだのだ。
HM−13の放った銃弾による攻撃は桜井あさひのバインダーによって勢いを弱められたため、カスリ傷程度で済んだ。
だが、問題はバイクからの離脱の際に打ちつけた体であった。

「(ちっ!あばらが折れちまったか…普段ならとっくに完治しているんだが、こりゃ6時間は休養しねぇと治りそうもねぇな…)」
己の体をかばうように、そっと地に腰を下ろす。
詠美も御堂に続き、ぺたんと座りこむ。
御堂の体内に潜む仙命樹は急ピッチで折れたあばらを治癒している。…しかし、遅すぎるのだ。
本来なら、30分程で治る怪我…だが、この島に張り巡らされた結界の力が仙命樹の能力を大幅に抑制しているのだ。
「おい、手。どうした?」
御堂はふいに詠美の手の異常に気付いた。出血している。
「…へ?」
「血が出てるじゃねぇか」
「え?…あ、うん。平気よ、こんなの」
「平気なら何で痛がってるんだ?」
「ぅ…」
「見せてみろ」
見ると、詠美の拳は皮が裂け、血がにじんでいた。見たところ骨や神経系には異常は無さそうだ。
「とりあえず水かけて傷口洗うぞ」
「あ、ちょっ―――」
詠美が制止するよりも早く、御堂はボトルの水を両手の拳に盛大に浴びせた。
バシャバシャシャ…
「あ、痛ぅ…」
「ほら、この位我慢しろ」
最後に詠美のハンカチを包帯代わりに巻いて、ささやかな治療は終わった

「そろそろ飯にでもするか」
御堂はそう言うと、詰め所から奪ってきたサケの缶詰を手に取り、同じく奪ったナイフで器用に缶を切る。
カコカコカコカコカコカコカコ…
「おっ、こりゃ丈夫なナイフだな」
ストライダーと呼ばれるナイフは、どうやら御堂に気に入られたようだ。
「あ、あのさ…」
「何だ?」
カコカコカコカコカコカコカコ…
「アンタって、一体何者なの?きょーかへいだとか、かせんたいだとか…わけわかんない」
「元大日本帝国陸軍特殊歩兵部隊所属 火戦躰一号 御堂だ」
「…ちょっとぉ、もっとカンタンに言いなさいよぉ…」
御堂は切り終えた2つの缶詰をコトリと地に置いた。
「今回はおめぇらも頑張ったからな、ご褒美だぞ。ホレ食え」
「にゃにゃにゃ♪」
「ぴこ!ぴこぴこ♪」
御堂はサケをほおばる2匹を獣を撫でながら言った。
「…日本が戦争に負けたのは…知っているよな?」
「あ…うん。いちおー」
「その時、造られたのが俺たち、強化兵だ」
「え?…造られた?」
「そうだ。…改造された…と、言った方が分かりやすいか?」
「アンタ…仮面ライダーの見過ぎじゃないの?」
「話はもう終わりにするか…」
「ああっ!待ってよ!ジョーダンよ!…で?どんな風にカイゾーされたの?」
「体の中に小さな生き物を入れた。『仙命樹』という生き物だ」
「養命酒?アンタじさま?」
「話はもう…」
「ウソウソ!ジョーダンよ!あ、あたしにも缶詰ちょーだい!」
「あいよ」
カコカコカコカコカコカコカコ…

「で?その生き物って…スゴイの?」
「ああ、例えばこの傷、もう治っているだろ?」
御堂は胸の傷痕…が、あった部分を見せた。
「あ、ホントだ…」
「これが仙命樹の力の一つ・治癒能力だ」
御堂は詠美に切った缶詰とフォークを渡す。詠美はハンカチが巻かれた手で受け取る。
「一つって…まだあるの?」
サケの切り身をフォークでつついて解しながら詠美が尋ねた。
「他にも各種能力の増強に不老不死の力も―――」
「ふろうふし!?死なないの!?」
「殺されればくたばる。…ただ、歳取ってくたばらねぇだけだ」
「ウソ…アンタ今いくつ?」
「俺が生まれたのが大正1×年だから…今年で7×歳だ」
「普通に年取ってんじゃない」
「テメェ、俺が老けてるとでも言いてぇのか?」
「ああっ!ジョーダンよ!…とりあえず、アンタがすごいのは分かったわ…でも、まだまだね…ふっふっふ」
コホンと詠美が咳払いをする。そしてポケットに手を突っ込み―――
「ぱんぱかぱーん♪見て見て!これがさいしんぎじゅつをくしして作られた『ぽち』よっ!」
「それ、さっき襲ってきたろぼっとが持ってた銃じゃねぇか」
「ぎくっ!ち、違うわよっ!!これがあたしの『ぽち』なの!」
「はいはい、分かったよ。とりあえず弾丸を補充してやるから貸してみな」
「じ、自分でできるわよ!バカにしないでよね!」
「おいおい、素人さんにはちょっと難しいぜ?」
「のぞむところだわっ!見てなさいよ!わたしのかれーなるテクニックを!」
(1時間後)
「おい、まだできねぇのか?」
御堂はため息混じりに訊いた。
「ふみゅ〜ん…何なのよコレ〜〜ぜんぜんできないじゃない…しくしく」
詠美はマガジンと弾丸をカチカチやりながら半ベソをかいていた。

【詠美 HM−13の拳銃 奪取】
【御堂 完治まであと 5時間】

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