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きらきらひかる。


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「大丈夫、ですか……?」
天野美汐は、身体を起こして大きく伸びをする長瀬祐介を見て、そう呟いた。
どうも祐介の様子はまだ芳しくなく、多少なりの疲れが見える。
これまでのここでの暮らしの中で、自分をずっと守ってきてくれたのだから、それもやむを得まい。
加えて先程まで瀕死の状態だったのだ。観月マナというあの少女がいなければ、本当に危なかっただろう。
だが、それでも顔色は先程よりずっと良い。少し眠ったお陰だろうか。
差してくる朝日も爽やかな印象をその陰影に与えていて、
健康とまでは言い難いまでも、それなりの精気を取り戻しているように見えた。
「うん――ごめんね、少し休ませて貰っちゃった」
済まなそうにいう祐介に、美汐は少し微笑んで、いえ、と応えた。
祐介は、やはり申し訳なさそうな顔を崩さないまま、
「うん、天野さんは……大丈夫かな、休まなくても」
と、自分を気遣う言葉を発してくるので、大丈夫です、と、出来るだけ明るく笑った。
笑うのはあまり得意ではないし、このような状況では尚更だ。

だが、こういう状況だからこそ、目の前の人を元気づけてあげたいと思う。
不慣れだったけれど、上手く笑えただろうか?

「長瀬さん、大丈夫なら行きましょうか? ちょうど良い頃合いですし」
「うん、――そうだね、何処に行けばいいかも判らないけど……取り敢えず、色々捜してみよう」
言ってすぐ一瞬考えて、祐介は突然歌い出した。

さがしてみよう 真っ赤に燃え立つ 僕の血潮〜♪

――何の唄なんでしょうか、という言及をしたくなったが、美汐はなんとか耐え抜いた。

というか、微妙に歌詞が違います。確か さがしてみればー じゃなく すかしてみればー です。
――そんなツッコミを自分が入れられるはずもなく。
そりゃあ、さがすとすかすは微妙に語感も似ているし、間違う人間も多かったと記憶はしていますが。
というか、自分も何でこんな、小学校の時唄ったような遠い記憶の片隅の歌を明瞭に覚えているんだろうか。
割と大きな声で唄った祐介は、美汐の割と醒めた反応を見て、案の定顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「ほ、ほら、あ、あのさ、早くいこ、天野さんっ」
次の瞬間には照れ隠しかのように、自分の手を牽いて、祐介は立ち上がった。
ああ、この人はやっぱりすごくいい人だ。
思わずくすりと笑うと、祐介はひどく嬉しそうな顔をした。

そう云えば、血潮と美汐は語感的に似ています……
ふと美汐は、そんな事を思った。

僕のみしおー。

――長瀬さんの美汐。

好きにしてください、長瀬さん……
天野さんっ……い、良いの? 僕なんかで……
今は、美汐って呼んでください、……祐介さんっ。
……美汐ちゃんっ……。
祐介さんっ、優しく、お願いします……私、初めてだから……

――私はアホかも知れません。
ふと思った。
顔を赤くしているだろう自分の顔を見て、祐介は、
「どうしたの?」
「なんでもないです」

自分って意外とアホなんだなあ、と思いながら、祐介は未だに額に熱を覚えたまま歩いていた。
島の外回りを歩きながら、先程美汐から聞いた放送の意図について考えながら。

爆弾は解除された、そして、あの高槻という男が野に放たれたという――
だが、果たしてその言葉を聞いた参加者は、これ以上戦おうとするのだろうか?
叔父達の意図が掴めない。一体どうすれば良いのだろう?
高槻を殺せば、取り敢えずマーダーはいなくなるだろうか?
それとも、もう、最後まで殺しきる事を覚悟した人が、いるのだろうか?
何処に行けば叔父に会えるのだろう? 放送の声は少なくとも叔父の声ではなかったが、
この近隣に叔父がいる可能性は高い。とにかく会う事で、何か判るかも知れない。

取り敢えず、誰かに会ったら話を聞く事にする。これからどうすべきか、どうやって逃げるか――。
美汐と、そういう取り決めをした。
自分たちではあまりに知恵が足りない。誰か、知恵のある、頭の良い人。

――その時思い出した顔が、次の瞬間目の前に現れたのだから恐れ入る。

がさり、と言う音と共に、目の前に現れたのは、自分と良く似た作りの顔。
多少血でまみれた姿と、満身創痍と云って差し支えない程傷ついた身体。
端正で、ひどく無骨な印象にこそなってはいたが、その笑顔は、昔と変わっていないと思われた。
数年は会っていなかった、自分の従兄。
「祐介、くんか?」
懐かしい声。
「彰、兄ちゃん?」
祐介は思わず唾を飲み込んだ。

【七瀬彰 長瀬祐介&天野美汐と遭遇。第七回放送直前です】

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