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 額に手を当てたら、べとり、と汗が掌についた。
 相当、汗を掻いていたみたいだった。
 ……いやな夢だ。
 往人は、額をもう一度拭う。
「往人さん、すごくうなされてた。大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
 そういって、声をかけて来た観鈴を往人は見た。
 その瞬間、往人は、無意識のうちに往人は腰につけていた、デリンジャーを引き抜き、観鈴のほうに狙いを定めていた。
「えっ、往人さんっ!?」
 観鈴の声で、はっと意識を取り戻す。
 観鈴の肩に、黒い、さっき夢にでてきた、烏がいた。
 その鳥を見て、往人は言った。
「2ネんなんだ、その鳥は」
「カラスさん」
 観鈴は即答した。少し、頭が痛くなった。
「カラスさんじゃなくてだな、そいつはなんでお前の肩に乗ってるんだ、ときいているんだ」
「さっき、ここにバッサ、バッサと飛んできて……」
 観鈴は両手でバッサバッサと鳥の飛ぶ真似をしてから、話を続けた。
「そして、私の近くに降りたの。だから、こっちにおいで、って手招きしたら、こっちにきて、それから……」
「もういい」
 そう言って、往人は、朝食の用意を始めた。
「朝飯は、鳥肉か……」
 そう、ポツリと呟くと、 観鈴の肩に乗っていた、烏はばっさ、ばっさと飛んで行った。
「いっちゃった……」
 観鈴は往人のほうを睨んで言った。
「往人さんがあんな意地悪いうから……。ひどい……」
「ひどいって問題じゃない、アイツは、アイツは」
 夢がどうこうっていうのはなにかとアレだ。
 問題があるような気がする。そう思ったので、往人はその続きを言うのを辞めた。
 代わりに、
「いいから、晴子を起こして来い、普通に、朝食にするぞ」
 と言った。

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