途切れる、糸


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理性的に。あくまで理性的に、その選択肢を採った。

でなければ保たない。死んでしまう。帰れない。
だから邪魔になる人間も、私を踊らせようとする管理者も、命を狙ってきた者も殺した。
感情に動かされた時がおしまいの時だと知っていたから、相沢祐一を遠ざけた。
それが正しい選択だった。私の世界を守れる道だった。
のに。

澪も浩平も死なせたのに詩子も撃ったのに覚悟を決めたのに。

この期に及んで好きだった、なんて。

馬鹿みたいだ。
貴方の知り合いを血にまみれさせたのも私なんだから、貴方は私を憎めばいい。
大切な日常を奪った女だと逆上すれば。
負の感情をぶつけてくれれば「お互い様です」とばかりに殺せた。
容赦なく、返り討ちに出来た。

貴方なんかあのまま見知らぬ誰かに殺されてしまえば良かった。
そうすれば今まで通り無感動にああ、そうかと受け止められたのに。
二度と掻き乱されずに、冷静に在れたのに。
嫌いだ。貴方なんて嫌い。みんな嫌い。あのひと以外はみんな嫌い。
いなくなってしまえばいい。相沢祐一なんて、知らない。
ふたりでいられれば他は要らない。

いらない。

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