戦友との再会 〜御堂〜
「―――それでは、健闘を祈る…ブツッ」
放送終了。
御堂と詠美は顔を見合わせる。
「お前、生きてるよな?」
「あたし、死んでないよね?どうして呼ばれてるの?」
詠美はきょとんとした表情で聞いた。
「知るか。お前、何か恨まれるようなことでもしたんじゃないのか?」
冗談半分で御堂が言う。
「し、知らないわよぉ!きっとこれは何かの間違いなのよっ!そうよ!そうだわ!ホント勘違いにも程があるわよっ!」
「いや、放送は確実だ。間違いなんかねぇよ」
「むっかぁ〜〜〜!!あたしの推理にケチつける気!?じゃあ何であたしは生きてんのよっ!!」
自分の推理を一蹴されてしまったエセ探偵・詠美ちゃん様のブーイングの嵐が吹き荒れる。
「知るか、俺もそれが不思議でならん。だいたい生死の判断をどうやってしているかも分かんねぇからな」
キュピーン!
詠美ちゃん様の頭脳がフル回転!一瞬で答えを弾き出した!
「そんなのかぁ〜んたんよっ!誰かがあたし達を見張ってんのよっ!」
「そんな奴らの気配はしねぇな」
ガクーン…
今日の詠美ちゃん様の頭脳は不調らしい(いつも不調だが)
「だいたい見張るも何も、見失っちまえばそれでお終いだろうが。発信機か何かありゃあ話は別だが…発信機?そうか!」
御堂は急に立ち止まった。
彼の背中に追突する詠美。鼻を押さえながら抗議する。
「ちょっ、ちょっとぉ〜〜〜!急に止まんないでよぉ〜!!鼻ぶつけちゃったじゃない…」
「…お前、あそこで吐いたとき、腹の中のモン全部吐き出しちまったのか?」
詠美は(いきなり何言ってんのよ、バカじゃないの?)と、言おうと思ったが、御堂の眼がマジだったので正直に答えることにした。
「え?あ、うん。ぜんぶ吐いちゃったわよ?それがどうしたの?」
「ゲロん中に金属が無かったか?よく思い出してみろ」
詠美はよく思い出した。サケ、サバの味噌煮…胃液、そして丸い球体。
「金属?ああ、あったわよ、銀色の丸い…」
「なるほどな、やっぱりか…体内爆弾の起爆装置、解除されてたのか。しかしうかつだったな。
発信機と生死判定装置もセットだったか。だが、こりゃあひょっとするとひょっとするかもな」
一人で納得している御堂を見て、何となくちょおむかつく詠美ちゃん様。
「ちょっとぉ!あたしにも教えなさいよぉ!!」
「いいだろう、教えてやる。まず、俺達がこの島に連れてこられた時に、管理側の奴らが参加者全員の胃袋の中に、
『爆弾・発信機・生死判定装置』が一体化したシロモノを入れやがったんだ。
もし、奴らに逆らったり、装置を吐き出そうとしたら、ドカンだ」
「え?あたし…それ、吐いちゃったよ?なんで爆発しなかったの?」
「そう、そこがミソだ。高槻って奴が主催から降ろされた時、ゲームを面白くするために奴らは爆弾の起爆装置を切りやがったんだ。
つまり吐き出しても爆発しないわけだ。ここが落とし穴だ。奴らすっかり発信機と生死判定装置の存在を忘れてやがった。
おかげでお前は水瀬名雪の傍らで死亡扱いになっている、ってなわけだ、どうだ?わかったか?」
「え?さっぱり。もう一回お願い」
「…だからな――――」
「…と、いうわけだ。…分かった…よな?」
御堂はゼーハー言いながら4回目の説明を終えた。
「なるほどね☆謎はぜんぶとけた!!」
詠美はくるりと一回転し、ビシィ!!と指差し、
「つまり、あたしは奴らの目をかれーにあざむいたルパン的そんざいなわけねっ!真っ赤なぁ〜♪バラはぁ〜♪…」
「(さっきから何を聞いていたんだお前は…俺の苦労を1行にまとめやがって…)」
御堂の肩にどっと疲れがのしかかった。
その時だった!
茂みから何者かが転がり落ちてきた。
ガサガサッ!バキバキバキィ!!ドカッ!!
茂みから現れたのは2人の男女だった。
「お前は…!!」
御堂は2人の…異様な姿に驚愕した。
「ね、ねぇ、この人達…アンタの知り合い…なの?」
謎の男と詠美の目が合う。男は彼女に軽く会釈した。
「あぁ、知ってるぜ。もう…五十年以上も前からな」