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罪滅ぼし


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「人を殺した罪は、消えないのよ。過去の過ちは、ずっと後になっても、永遠に自分を苛み続ける。
 確かに、死ぬってことが罪滅ぼしになるかもしれない――
 だけど、そんなの、逃げ。自分がやった罪から、逃げようとしてるだけ。
 ――無責任なのよ、あんたは」
「―――」
「あんたも、そこのヘタレも、あいつも。命を、軽く見てる。最低だわ。
 人を殺したとか、そんなの関係無い――あんた達、最低よ。
 沢山人が死んだ中で、自分だけ生き残ったくせに、それを大事にもしないで。使い捨てだと思ってんじゃないの?
 うざったい――反吐が出るわ」
祐一が、袖を裂く音。
布がきつく縛られ、ぎゅっ、という音を立てる。その度に、茜の顔は苦悶の表情を見せた。無理もない。
――その中で、晴香の声は、淡々と響いていた。無論、後ろのなつみにも聞こえている事であろう。
「あの、詩子とかいう子だけじゃない。みんなそう。
 生き残ろうとして、頑張ってきた。何かしようとして、頑張ってきた。
 その上達に、あたし達はいるのよ――無駄に死ぬなんて、それこそ死者への冒涜だわ。
 あんた、死んでまでして罪を重ねる気なの?」

――由衣。
自分を守る為に、死んだ仲間。
いや、由衣だけじゃない。
一緒に戦ってきた、仲間の死があって――今、私が此処にいる。
だから、無駄死にだけはさせない。
その誰かが、どれだけ辛くても。
その誰かの為に死んだ、他の誰かに、報いる為にも。

「………」
茜は――今度は、事も無げに答えなかった。逃れるように、目を逸らす。
「少しでも、償う気があるのなら――がむしゃらに、生きなさい。
 精一杯、戦って。それで、死になさい。
 そしたら、私も褒めてやるわ――地獄でね」
「――生きて、いいんですか?」
か細い声。
精一杯の問い掛け。
祐一も、その問いに顔を上げた。
「誰も許可なんてしないわ」
さらりと流す。
二人は、やや、驚いた顔を見せた。
晴香は続ける。
「生きる権利なんて、誰にもあるのよ。あんたなりに、生き残りなさい。
 ――それが、あんたの殺した人への、せめてもの罪滅ぼしよ」
「………」
布が縛られる音。
完全にとはいかなくても、きつく縛られた布が、血の流出を止めた。

生きる権利は、渡された。

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