再会を誓って〜命の重さ〜
朝焼けの中、手と手を取り合う二人。
生まれた友情…もともと、蝉丸と御堂は惹かれあっていたのかもしれない。
長い長い、時の狭間の中で……
「坂神ぃ…今まで……すまなかったな……」
「御堂、お前とは思えないセリフだな」
「気付いたんだよ、俺ぁただ、お前に嫉妬していただけだったってことに」
「……」
御堂はただ、バツが悪そうに頭を掻いた。
悪戯をした子供のように。
「許してくれ…なんて言わねぇ…だが…分かってほしい」
「御堂……」
「俺は、お前がうらやましかっただけなんだよ…」
少し顔を赤くして。
「こういうのって…なんて言えばいいんだか分からねぇがよ…」
「御堂……」
「……」
ただ何も言わず、蝉丸は御堂を抱きしめる。
陳腐な言葉なんていらない。無言のその行為はただ、美しかった。
どれくらいそうしていただろうか…
「坂神…俺は…たぶんお前を……」
やがて御堂がそう切り出した。
「……」
御堂を見つめる瞳。それは一点の迷いもない。
「御堂、よく、聞け……。
お前がいま感じている感情は精神的疾患の一種だ。
しずめる方法は俺が知っている。俺に任せろ」
蝉丸の言葉。それは甘く、切なく。
二人の少女が見ているのにもかかわらず近くの茂みへと倒れこんでいった。
「(;´д`)そして二人はっ……!!蝉丸た〜ん、御堂た〜ん、萌えっ!…私も仲間に入れてぇ〜ハアハア……」
彼女の物語はついにクライマックスを迎えた。
(そ、それ……いいわね…ネタに使えるかもっ……!!)
感化されている少女も一人。
「〜〜〜〜っ!!いいかげんにしやがれっ!このメスガキッ!!」
バキャッ!!
「(;´д`)グピィッ!!」
頭に、強い衝撃。
「(゚д゚)バタンのQ…だゴルァ(゚д゚)」
バッタリッ。
奇妙な遺言を残して月代が倒れた。
「なっ……いきなり何をする、御堂っ!?」
「にゃっ?」「ぴこぴこっ!?」
蝉丸のげんなりしていた顔に、驚愕の表情が宿る。
動物達の間を駆け抜けて、蝉丸が御堂につかみかからんばかりの勢いで。
無論、御堂が手加減していることは見て取れたが、それでもその衝撃は計り知れないはずだ。
現に、仮面の表情が変わってしまったかのように歪んでいる。
「……」
御堂もまた、疲れたような表情をしてはいたが…すぐに蝉丸を睨み返した。
「坂神…俺がてめぇを憎む気持ちはいささかもかわりないんだぜぇ…やるというならいつでも受けてたってやるぜ。だが」
気絶している月代を抱え起こすと、物のように蝉丸へと渡す。
「すべては島を出てからだ…これが終わったら、すぐにだ。決着(ケリ)つけてやるぜ」
「……」
蝉丸も、また御堂の瞳を正面から見据えた。
「で…だ。島を出る前に…まだ…やることがある…」
森の奥、その向こうにあるであろう建物の姿を目に捕らえる。
「やること…」
詠美もまた、思い出したかのように顔をあげた。
「行くんだろ?」
「う、うんっ…!!」
コクコクッ…と詠美が上下にかぶりを振る。いささか大げさではあるが肯定の証。
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「というわけだ…悪ぃが、少々面倒事に巻き込まれている」
首をすくめた。
「御堂……」
「別れて行動した方が効率いいだろ?俺と、おめぇが本当に組むのは…最後の決戦の時だ」
口に出してこそ言わないが御堂も蝉丸の実力という点では認めている。
「ならば俺もいた方がいいのではないか?」
「てめぇはともかく…そっちの女はただの足手まといだ。
これ以上、足手まといが増えるのはごめんだからな」
「足手まといってなによ!?したぼくのクセにっ!!」
「言葉通りだろ……」
「ああ、分かった…」
「ちょ、ちょっと…!?」
蝉丸もそれを二つ返事で承諾した。
強化兵である御堂、蝉丸。力が発揮できないとはいえ、二人が一緒に行動すれば確かに恐いものなしだろう。
だが、別々に行動した方が、他の島の攻撃的ではない参加者を保護できる…という点では確率があがるという考えもあってのことだ。
それに、下手に反論して、御堂を再び敵に回すことだけは避けたかった。
「時がきたら…また、ここでだな」
もし今、教会での出来事を知っていたなら、蝉丸は頭を縦には振らなかっただろう。
御堂も、蝉丸も、その『名雪』と名乗る女性の向かう先が血塗られている場所とは知らないのだから。
「じゃあ、俺らは行くぜ…」
詠美と、動物達を伴って。
「また、後で……だな」
「(゚д゚)……」
気を失った月代を腕に抱いて。
「坂神よぉ…」
去り際、御堂の言葉。
「こんな島、確かに胸クソが悪ぃ」
「……」
「だが、俺やお前や岩切の奴だけは…こんな島がお似合いなのかもしれねえな」
命を奪ってきた数だけ、二人の命の価値は、重い。
「俺らは血で濡れた戦士だ。
俺らには、決して消えることのねえ――罪だからな」
【大庭詠美・御堂 教会へ】
【坂神蝉丸・三井寺月代 再び移動開始、月代気絶中(;´д`)→(゚д゚)】